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昭和で止まった男
第六章

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「そして今は令和だな」
「昭和じゃないです」
「昭和はとっくの昔です」
「二十一世紀ですし」
「校則で下着まで決められていた時代だぞ」 
 こんな愚かな校則も当時は存在した、自由打の民主主義だの言う日教組はその実は教育の理想は北朝鮮と言ったがそこにも出ていたのだろうか。
「派手過ぎない下着ならいいんだ」
「そうですよね」
「俺達全員トランクスかボクサーですが」
「それでもいいですよね」
「下着は白ブリーフとかな」
 この下着でないと認めない学校もあったのだ。
「そんなのだったんだ」
「あいつの時代はですね」
「それであいつはそこから止まって」
「全く変わっていないんですね」
「お前等絶対に忘れるな」
 監督はこれまでよりも強い声で言った。
「あれが老害だ」
「文字通りのですね」
「世の中を悪くする爺ですね」
「そうなんですね」
「今からまともに何でも学んでな」
 そうしてというのだ。
「あいつみたいにはなるな」
「老害にはですね」
「絶対にですね」
「なったらいけないですね」
「あいつみたいになりたくないならな」
 こう言うのだった、そしてだった。
 重原達はその輩を徹底的に反面教師にして野球も高校生活も行うことにした、そうなってであった。
 重原はまたその雑誌を読んでだ。宇野に言った。
「いや、本当に何度読んでもな」
「遺言はか」
「もう読んでもな」
 そうしてもというのだ。
「戯言にしかな」
「思えないな」
「ああ、何でだよ」
 教室の自分の席でぼやく様にして言った。
「この雑誌凄くいいのにな」
「そんなの連載させてるかだな」
「誌面余ってもな」
 それでもというのだ。
「他の人がな」
「いるな」
「幾らでもな」
「そうだよな」
 宇野も確かにと頷いた。
「名球会に入って元監督でもな」
「老害は老害だよな」
「何かな」
「何か?」
「とある監督さんを吉田松陰の再来とかも言ったけどな」
「こいつが吉田松陰さんわかるか?」
「あの知能と教養でか?」
 これが宇野の返事だった。
「わかるよな」
「そういうことだな」
「わかってる筈ないだろ、ピッチャーでな」
 それでというのだ。
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