暁 〜小説投稿サイト〜
星河の覇皇
第八十六部第四章 エウロパが受けた衝撃その二十六

[8]前話 [2]次話
 フレッセルは新聞やネットでのニュースを観ても特に喜ぶことも驚くこともなかった、ただこう言うだけだった。
「これからだ」
「大事であるのは」
「就任ではなくですか」
「大臣として何をするか」
「それが大事ですか」
「そうだ、私がどういった教育政策をイタリアで行い」
 そしてとだ、周りに言うのだった。
「どういった結果を出すか」
「そのことがですね」
「それが問題ですね」
「就任ではなく」
「そのことがですね」
「問題であり就任の話で浮かれることなぞだ」
 平然として言うのだった。
「何もない」
「左様ですか」
「ではですね」
「イタリア教育相に就任され」
「そして、ですね」
「政策を執り行われますね」
「そうする、ギルフォード総統の政策をだ」
 彼のそれをというのだ。
「イタリアで行う、それと一つ気になっていた」
「一つ?」
「といいますと」
「それは一体」
「食育だ」
 これのことだというのだ。
「教育の場でのな」
「食事ですか」
「それを通じての教育ですか」
「それがですか」
「問題ですか」
「エウロパの者は連合の者より体格が小さい」 
 このことは事実である、連合の成人男子の平均身長は一九〇程であるがエウロパの者は一八〇程である。
「やはり体格もな」
「重要ですね」
「体格がある方が頑健ですし」
「都合がいいこともあります」
「人間の頭の出来は変わらずとも」
 それでもというのだ。
「体格はな」
「関係ありますね」
「それが影響することが多いですね」
「どうしても」
「古代ローマ人と今の我々では同じ訓練をするとどうなるか」
 三千年以上昔の者と今の者を比較して言うのだった。
「一体な」
「体格差が、ですか」
「大きく出ますか」
「やはり」
「かなりな、ローマ人の平均身長は一六〇程だった」 
 このことは湯治の鎧からわかることだ、鎧の大きさからそれを着ている者の体格もわかるのである。
「背丈が二十センチも違うとな」
「体重も違いますし」
「それで同じ訓練をしますと」
「どうしてもですね」
「今の我々の方が勝ちますね」
「それが十八世紀の終わりでも同じだ」
 この時でもというのだ。
「実はベートーベンの背は一六五センチ程だった」
「今ではかなり小さいですね」
「成人女性でも小柄です」
「そう言っていいです」
「今のエウロパでは」
「だが当時は中背だった」
 後にドイツと呼ばれることになる地域ではだ。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ