そのままでいい
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…またどこぞの王様がか弱き女の子を泣かすのかと思いまして……じゃぁお節介なオバサンは事務仕事に戻りますわよ! あぁ忙しぃ!」
そんな捨て台詞で扉が閉まり、奥様は1階へと戻っていく。
「あ……あの……では何故私は今日呼び出されたのでしょうか?」
「あれぇ? 全然気付いてないの!?」
「気付くも何も……」
「今日は日曜日で、サンタローズでは教会がミサを行ってるんだよね……だから、」
「……はっ!! きょ、今日はそれのお手伝いを……って事でしたか?」
「お手伝いってか、ちゃんとバイト代は出るよ」
「いえ、バイト代なんて不要ですわ。寧ろ毎回お手伝いしたいくらいなのですから」
「そう言って貰えるのは嬉しいけど……勘違いして来ちゃったヴァネッサちゃんとアーノちゃんは如何する? 一緒に行っても素人のお婆ちゃん達に音楽を教えるだけだけども?」
「因みに社長……ワザワザ私を手伝いに駆り出すって事は、あの聖歌隊に新曲を提供するって事ですか?」
「うん。そろそろ曲目を増やさないとお客に飽きられるからねぇ。レパートリーは多いに越した事はない」
なるほど……確かに多数の曲を演奏出来るのは強みだ。
「二人とも! 今日はラッキーよ。是非とも一緒に行って聖歌隊のお手伝いをするべきね」
如何やらアイリーンには聖歌隊のお手伝いに多大な価値を見いだしてるらしく、鼻息荒く私たちにもそれを伝えようとする。
「あ、私でお役に立てるのなら……是非お手伝いをしたいです」
「私もぉアーノと同じでぇお役に立てるのなら是非ともぉ」
私もヴァネッサ先輩も共に了承。
「そ、それで社長。新曲の譜面とかは既に用意して有ったりしちゃいますかぁ?」
私たちの了承を確認すると、先ほどまで落ち込んでいた目とは完全に別物の瞳を光らせて社長へと躙り寄るアイリーン。な、何があの娘をそうさせるのだ!?
「はいはい、ちゃんとありますよぅ。コレね。二人の分もどうぞ」
そう言われて3人分の譜面を受け取るアイリーンは、私たちの事は見もせずに追加で渡された譜面を渡してくる。ちょっとはこっちを見ながら手渡しなさいよ……無礼ね!
「じゃぁ僕はピアノで披露するから、適当な場所に座ってよ」
そう言いながら社長は先ほどまで行っていた作曲を中止し、作曲中であろう譜面等をファイルにしまい、それをご自身のショルダーバッグにしまい込んだ。あっちも気にはなる。
そしてピアノに座り直し演奏の準備を整える。
私も手近なソファーに腰を下ろし、アイリーンからノールックで渡された楽譜に目を移す。
そこには『Let It Be』と曲名が書いてる
ふむ……
楽譜の歌詞を見る限り、同じ言葉“Let It Be”を繰り返している印象が強いが……
社長の曲だ……そん
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