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『外伝:紫』崩壊した世界で紫式部が来てくれたけどなにか違う
再会したあたしは、快く迎え入れる
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あれから数日後…。

「葵さん!この本はここでいいですか?」
「うん、ありがと。そこ置いといてね。」

イリヤちゃん、美遊ちゃんは無事にここの一員として働いている。
仕事も飲み込みが早くて、簡単な作業や本の貸し出しなんかはあたしの手伝いがなくてもこなせていた。


「中庭、すごいですね。」
「適当に植えてたらこんなことになっちゃってさ。」

それから中庭の水やり。
ちょっと前までは草木がまぁまぁ生えている程度の普通の中庭だったが、貰った花の種などをそのまま植えているうちに植物園のようになってしまっていた。

実際、いっその事植物園を併設してみては?という話も持ち上がっている。

「世界がこんなことになってから、季節関係なく植えたらすぐ伸びて育つでしょ。普通シクラメンと向日葵が揃って咲くなんて有り得ないし。」
「でもすごい…お花屋さんみたい…。」

春夏秋冬問わずここには色とりどりの花が咲く。
世界崩壊以降、なんの影響かは知らないが作物が短期間で育つという奇妙な現象が発生。
幸い、食べてもなんの影響もなかったそれは農業に革命を起こした。
そしてそれは勿論、花にも作用する。

植えたら次の日には元気な芽が土から顔を覗かせ、1週間も経てばすくすく育ち花をつける。

「それじゃあ美遊ちゃんとお花の水やり当番、任せていい?」
「はい!頑張ります!!」

そうして90度のキッチリした礼をするイリヤちゃん。
そんなに畏まらなくていいんだよと言うも、

「これから住まわせてもらう立場ですし、出来ることは全力でやらないと!」

そういって彼女は張り切っている。
まぁ、疲れないくらいにねと最後に付け足しておいた。

で、

「お?葵さん、この花はもしや紫式部ですね?」

イリヤちゃんが来たのなら、あの摩訶不思議ステッキもご一緒だ。

「うん。図書館やり始めて最初に貰った贈り物でさ。隣のアオイもそう。」
「へーなるほどなるほど。」

そういって何度も頷く(?)摩訶不思議ステッキマジカルルビー。

「ルビー、お花のこと知ってるの?」
「何をおっしゃいますかイリヤさん。超万能魔術礼装マジカル☆ルビーちゃんですよ?花の知識なんて朝飯前です。花言葉なんかももちろん知ってますよぉ。」

と、得意げに話し出すルビー。

「紫式部は上品、聡明、愛され上手なんて花言葉がありますし、そこの白いヒヤシンスなんか控えめな愛らしさなんてものがあります。あ、紫のヒヤシンスなんかはごめんなさいなんて意味もありますから、仲直りの際にあげるにはうってつけのお花だそうです。」
「そこまで知ってるんだ。」


と、少し感心するあたし。
気を良くしたのか知らないがルビーは続けざまに語り出した。


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