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金木犀の許嫁
第十九話 ハンデその十二
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「妖怪のね」
「幽霊とですね」
「山姥もね」
「いましたね」
「山はないけれど」
 学園の敷地内にだ。
「山傍だしね」
「はい、神戸ですから」
「だからね」 
 そうした土地柄だからだというのだ。
「それでね」
「山姥もいますね」
「他の妖怪達も」
 山のというのだ。
「いるわね」
「そうですね」
「けれど見間違いもあって」
「はい」 
 それでというのだ。
「山の民の人達がです」
「そうだったのね」
「そうも言われています」
「そうなのね」
「それで長い間です」
 白華はさらに話した。
「山の民の人達は日本のあちこちに住んでいました」
「山に」
「はい、ですが」 
 それがというのだ。
「二次大戦の時に」
「あの戦争ね」
「戸籍が徹底的に作られて」 
 それでというのだ。
「あの人達もです」
「そこに入って」
「戦争にです」
「協力する様になったのね」
「もうです」
 それこそというのだ。
「そこで、です」
「山の民の人達はなのね」
「ほぼです」
「いなくなったのね」
「山から平地に入り」
「街や村でなのね」
「暮らす様になって」
 そうなってというのだ。
「それで今は」
「殆どいないのね」
「いなくなったと」 
 その様にというのだ。
「言う人すらです」
「いる位なのね」
「多くの人がそう思っています」
 英語でマウンテンジプシーと呼ばれる彼等がというのだ、その言葉は縄文時代のそれであったという。
「ですが」
「実はなのね」
「まだです」
「日本の何処かになの」
「その場所は極秘で」
 そうなっていてというのだ。
「私もです」
「知らないのね」
「はい、ただ存在していることはです」
「事実なのね」
「そうです」
 まさにというのだ。
「あの人達は」
「まだいて」
「かつては忍者にもです」
「影響を与えていたのね」
「そうです」
「成程ね、その人達も差別されていても」
 アイルランドの娘はそれでもと言った。
「私が聞く限りね」
「然程ですか」
「他の国と比べたら」
 その差別と、というのだ。
「遥かにね」
「ましですか」
「そう思うわ、例えまつろわぬとか言われて」
 古事記や日本書紀でというのだ。
「敵とみなされても」
「降れば許されたので」
「かなりね」
「ましですか」
「ええ」
 こう白華に答えた。
「そう思うわ」
「日本の差別はそうですか」
「ええ、本当にね」
 こう言うのだった、そして他の話もした。そしてこの時の話は白華が差別について考えるうえで重要な要素の一つになったのだった。


第十九話   完


                  2024・3・2
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