哀しみの味
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は虚を作ってしまい、その隙を横薙ぎの一撃でまとめてぶった斬る。
自分で思うのもなんだが、呆れた一撃だ。
正直、卑怯臭くもあるが、これも自分の実力である。それで、世界にはどうせ三十メートルもの斬れる斬撃を見て、それがどうしたとか言う存在もいる筈だ。
ならば、こんな程度で驕ったりなんかしない。
だけど、それでも自信満々に不敵。
それこそ、剣神流だ。
そして、さっきまでは左にいた学生達が、後ろから攻撃を仕掛けてくる事を気配で察する。
持っているのは、多分、短剣。
この至近距離でぶつかってくるという条件なら適しているなと思いながら、俺はそのままひょいと目の前の自分の斬撃で吹っ飛ぼうとしている人間を摘まんで場所を交代する。
力はそこまで使わない。
手首の返しを持って、反動を消し、足首の動きで後ろに投げ飛ばす。
故に、解らなかった人間はそれこそ目の前にいきなり横倒しの人間が現れたようなモノだろう。
そして、一番最初に俺に攻撃しようとした人間がつんのめったので後ろも影響も受け、その間に俺は何も持っていない左手を虚空に出す。
そしてそこに丁度落ちてくる悲嘆の怠惰。
相手の顔が引き攣っていくのを見届けてから、悲嘆の怠惰を振る。
斬撃は飛ぶ。
こうして、左右に前は安全を取った。
だからこそ、これだけの時間を費やしたからこそ、背後から追ってきた存在がいるのは仕方がない事だったが
「頼んだぜ、ネイト」
じゃらりと鎖特有の音がしたと思ったら、直後に轟音。
最早、背後を見るまでもないが、そこで俺の真後ろに立つのは少々やり過ぎじゃねえかと苦笑するが、まぁ、良いかと思い、話を続ける。
「初めての息合わせだが……思いの外上手い事言ったな」
「よく言いますの……あんな人の喉の音を合図にするだなんて典型的な事をして、こっちに気付いているというのが理解できていないと思う人間はいないと思いますわ」
それもそっかと相槌をしながら、トーリたちに背を向け、そしてネイトとは共に並ぶ。
「まぁ、お前も俺に言いたいことはあるだろうけどよぉ……今は水に流すっていう事でどうよ?」
「……そこはやる気になっても変わりませんのね……」
何の事だかさっぱり解らないので、そこだけは無視した。
右の剣を肩に背負い、そして一歩前に出る。
後ろは振り向かない。
後ろはトーリの領分である。俺は前に疾走する係り。
どちらかと言うと俺とトーリの関係はこれの方が正しいんだろうなと内心で苦笑する。
まぁ、今は関係ないので、今度こそトーリの事は意識の外に出して、前の戦士団の方を見る。
「わりぃが……こっから先を通ろうとするのはご自由だが、代償として俺にぶった斬られてもらうぜ。安心しな。そっちにもいい医者はいるだろ?」
「喧嘩を売るのも得
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