哀しみの味
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るような位置に入り込んできた。
馬鹿め……! と素直に思った。
武蔵の輸送艦の装甲ではこちらの主砲を耐える事は出来ないし、砲撃などは暫定支配さをされている極東ではそれ程警戒するようなものではない。
特務クラスか、副長クラスで言うなら、後、一撃か二撃は耐えられるはず。何だかんだいって、三回受けたが、致命傷はまだ一度も受けいていないのである。
故に、苦し紛れの行為だと判断する。
「潰れろ! 武蔵! 我らが聖下の艦の御前だぞ……!」
そうして流体砲を撃とうとする。
だが、目の前に違う光が現れる。
それは武蔵野に降り立っていた一人の少年と、一人の少女。
武蔵生徒会長兼総長と君主ホライゾン・アリアダストであった。
その光の出所は
「大罪武装……悲嘆の怠惰です!」
直後にこちらの流体砲の一撃と悲嘆の怠惰の掻き毟りが発射され、激突した。
今まで握ったことがないような武器を持つ感触と、今まで味わった事がないような衝撃にホライゾンは正直、両腕が限界であった。重さを感じないとはいえ、やはり、このような大剣を握ったことがない自分では正直しんどかった。
自分は自動人形だが、戦闘用には調整されていないので重力操作も弱いし、普通の腕力という点でも強くも弱くもない。
ましてや、こんな大罪武装を使うなんて初めてな事である。
自分の感情故か、所有者認識は握った途端に勝手になったので、手間が省けてよかったのだが、やはり使い慣れない物を握るというのはそれだけで疑似神経を使う。
しかも、超過駆動を使っているから、反動が凄まじい。
正直、隣の馬鹿が吹っ飛ばされないのが不思議なくらいである。
だが、そんな努力は無駄と言わんばかりに悲嘆の怠惰の掻き毟りが押され始めた。
途中で隣の馬鹿が「押し返しーー!」とか叫んだので、思わず爪先を踏んだが、今はどうしましょうかと考えるだけである。
悲嘆の怠惰の流体燃料ゲージはまだ残ってはいるのだが
『個体感情表現:超過駆動:出力:60───』
つまり、自分は今、まだ悲嘆の怠惰の出力の六割しか出せていないという事である。
どうするべきかと考えようとした瞬間、その答えが宙空に表れた。
『ホライゾン様:第三セイフティ解除"魂の起動":お願い致します』
魂の……起動……!?
自動人形は人間で言うと魂というのが体のどこかにある。
自分の場合は喉。その魂を起動してくださいとまるで頼まれたかのように言われた。
しかし、そんなに簡単に言われても、自分はその魂の起動の仕方など知らないのである。
ぶっつけ本番で成功出来るだなんて神肖動画の世界だけである。
なら、自分はここまでだろうか。
いや、この場合は、自分だけでは終わらない。後ろには武蔵がいるの
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