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詐欺師が狙う相手
第五章

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「それこそ境界知能がな」
「いるわね」
「それでそんな奴は政治だとな」
「余計にわかるわね」
「ああ、その馬鹿さ加減がな」
「露骨に出るから」
「とんでもなく極端だとな」
 その政治的な考えがというのだ。
「左でも右でもな」
「馬鹿だっていう証ね」
「そんな馬鹿こそな」
「本当にカモね」
「巻き上げるのが楽でな」
「逃げやすい」
「そうさ、精々騙してやって」
 グレッグはここでも楽しそうに言った。
「そしてな」
「そのうえでね」
「これからもな」
「お金巻き上げるわね」
「ああ、そうしていこうな」
「そうね、巻き上げていって」
「儲けていこうな」
「とことん馬鹿だとね」
 マイラはそうであるならと言った。
「もう幾ら騙しても」
「良心が痛まないだろ」
「全くね」
「俺達もな」
「馬鹿過ぎるとね」
「その言ってることもやることもな」
「馬鹿過ぎてね、性格もね」
 こちらもというのだ。
「悪いから」
「常識とか思いやりとかな」
「全く考えが及ばなくて」
「それでな」
「性格もかなり悪いから」
「反省もしないしな」
「そんな奴を幾ら騙してな」
 そうしてというのだ。
「お金を巻き上げてね」
「そうしてな」
「心が痛まないわね」
「いい奴は騙すのはな」
「やっぱりね」
「気が引けてな、俺達も良心があるしな」
「悪党でもね」
 自分達のことを理解しての言葉だ。
「やっぱりね」
「善人は騙すのは心が痛む、だからな」
「善人は騙さないことよ」
「いい奴はな」
「そして頭がいいと騙されない」
「しかしどうしようもない馬鹿はな」
 美味いワインを飲みつつ言った。
「頭も悪い、性格も悪い」
「下品で野蛮でね」
「教養もなくてな」
「観ていて不快だからね」
「そんな連中だからな」
「騙しやすいしね、とても」
「しかも騙しても心が痛まないからな」
 だからだというのだ。
「これからもな」
「どんどん騙していけばいいわね」
「そうだ、それで儲けていこうな」
「そうしましょう」
 二人はこう言ってだった。
 今は完敗した、そしてそれからも極めて愚かな連中を騙していった。そうして捕まることはなかった。愚か者達にどうにかなる様な二人ではなかったので。


詐欺師が狙う相手   完


                  2024・5・27
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