第八十六部第四章 エウロパが受けた衝撃その二十一
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そしてだ、領地に帰るとすぐに小学校を視察した。そして自分で見るだけでなく周りの者達に密かにだった。
学校の隅から隅まで見させた、その彼等の話を聞いてから校長室において校長に対して重厚な声で問うた。
「困っていることはないか」
「いえ、それは」
別にとだ、初老の女で赤髪をパーマにし清潔な青いスーツを着ている校長は彼に礼儀正しく答えた。
「これといって」
「トイレが旧式になっていないか」
フレッセルは周りの者達から聞いたことを出した。
「そうではないか」
「それは」
「謙遜することはない、隠すこともだ」
こう校長に言うのだった。
「言えばいい、そしてだ」
「そのうえで、ですか」
「なおすべきところはだ」
「なおすべきだと」
「そうだ、だから隠さずにな」
「全てなおす」
「そうしてくれ、トイレ一つ取ってもな」
こうした場所もというのだ。
「重要だ、古くなって使用に問題が出れば」
「学校としてよくない」
「だからな、教育費は多く用意してある」
男爵領のそれからというのだ。
「だからだ」
「そのことはですか」
「言ってくれ、そしてこの学校はいじめはない様だな」
「いじめですか」
「あれはあってはならない」
いじめについてだ、フレッセルはその目を顰めさせて言った。
「醜いものだ」
「だからですね」
「あればその芽を摘んでだ」
「なくしていく」
「これは動物虐待も同じだ」
こちらもというのだ。
「あってはならない」
「醜悪なものなので」
「だから学校としてはな」
「目を光らせておくことですか」
「自分より弱いものをいじめるなら」
それだけの暇があればというのだ。
「己の才覚を磨いてだ」
「そうしてですか」
「より高みを目指す」
「そうすべきですか」
「そうだ」
まさにというのだ。
「そもそも自分より弱いものにしか手を出せない者がエウロパひいてはイタリアの為に働けるものであろうか」
「それは」
校長も答えた。
「違いますね」
「我々の敵は何か」
「連合です」
「連合は人口で我等の四十倍でだ」
一千億に対して四兆だというのだ。
「そして国力は六百倍」
「その敵に向かうには」
「自分より弱いものにしか手を出せない様ではな」
それこそというのだ。
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