第七百五十二話 苗字がない家その九
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「酷いわね」
「そうした人だったからね」
「森鴎外さんをチートとか言う人いたら」
「もうね」
それこそというのだ。
「我慢出来ないで」
「真相言うのね」
「あの人のね」
「そうするのね」
「ついでにお子さん達の名前のこともね」
このことも話すのだった。
「藪医者で爵位にこだわって女の人にそうしたことして」
「エウロパ崇拝で」
ベスはこのことを言い加えた。
「お子さんのお名前にもする」
「そうしたよ」
「実に嫌な人だったのね」
「そうだったってね、目を覚まさせてあげたいわよ」
ジョーは心から思って言った。
「本当にね」
「ジョーお姉ちゃんが森鴎外さん嫌いなのはわかったわ」
「大嫌いよ」
ジョーはすぐ下の妹に即座に真顔で答えた。
「日本の作家さんで一番ね」
「そうなのね」
「夏目漱石も好きじゃないけれど」
森鴎外と並び称されるこの文豪もというのだ。
「DV夫だったし」
「それ以外よね」
「これが凄くてね」
その暴力がというのだ。
「当時は結構あってもその頃でも酷いって言われる位で」
「そこまでだったの」
「奥さん周りから離婚を勧められる位だったのよ」
「暴力が普通の時代でも」
「何しろお子さんだけれど」
奥さんへの暴力でないがというのだ。
「息子さんのお一人をステッキで激しく何度も打ち据えたらしいのよ」
「何度もなの」
「もう袋叩きレベルでね」
「そんなことしたの」
「今だとそうしてるってわかったら」
家族にそこまでの暴力を振るっていることをだ。
「もうね」
「離婚ね」
メグが言ってきた。
「絶対に」
「そうよね」
「あの人色々とね」
メグはさらに言った。
「あったみたいね」
「そうみたいね」
ジョーも否定しなかった。
「どうやら」
「それでね」
「そうした人だったのね」
「被害妄想で」
この気質があってというのだ。
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