第一章
[2]次話
自己評価が低いことも
OLの伊藤明日菜は自信がないタイプだ、穏やかというよりかは臆病な感じの顔で小柄で黒髪を肩の長さで切り揃えている。スタイルは普通である。
仕事をしても実はそつないが自信がなくてだった。
「出来てるでしょうか」
「出来てるわよ」
いつも先輩にこう言われていた。
「安心して」
「そうだといいですが」
「じゃあ次もお願いね」
「わかりました」
俯いて応える。そんな彼女に同期入社の木村茂樹長身できりっとした眉と目鼻立ちで黒髪をセットした引き締まった体格の彼は言うのだった。
「お前さ、自信なさ過ぎなんだよ」
「それはわかってるけれど」
「自分は出来るってな」
その様にというのだ。
「いつもな」
「思っててたらいいの」
「そうだよ」
こう言うのだった。
「実際そつないだろ」
「そうだといいけれど」
「出来てたら自信持ってたらいいんだよ、俺なんてな」
右の親指で自分を指差して言うのだった。
「何でもな」
「お仕事出来るから?」
「そうだよ、もうな」
それこそというのだ。
「自信あるんだよ」
「そうなの」
「小学校から空手やって全国大会でもいいとこいって」
そうしてというのだ。
「今五段だよ」
「五段、凄いね」
「鍛えてるからな、学校の成績も良かったしな」
このこともあってというのだ。
「いつもな」
「自信あるのね」
「そうだよ、俺みたいにとは言わなくてもな」
「自信持てばいいのね」
「出来ればな、もうどんどんな」
それこそというのだ。
「自信持てよ」
「それでいいのね」
「そうだよ」
こうだ、木村は伊藤に言うのだった。だが伊藤は自信がないままだった。実は絵を描くのが好きで学生時代は美術部だったが高校時代天才と言っていい同級生後に美大に進みそこでもそう言われて世界で活躍しだしている人を見て自信をなくしたのだ。そしてそんな自分が嫌だった。
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