第四章
28.ロンダルキアの地下資源
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新神殿の中にある教団代表用の執務室で、フォルは筆を執っていた。
「それが昨日言ってた手紙か?」
「はい。ダスクさんはあまりよく思ってらっしゃらないかもしれませんが……」
神殿要塞化工事の報告のために部屋に来たアークデーモンの若き族長・ダスクに机をのぞき込まれ、仮面を外していたフォルはすまなそうな顔で言った。
文書の宛先は、サマルトリア・ローレシア・ムーンブルクの三国。内容は、現教団は戦いを望んでいない旨、世界中の国で教団が公認されることを目指したい旨、そしてムーンブルクに対しては可能な限りの補償をする意思がある旨である。
中身を読んだ若アークデーモンは、顎を触った。
「よく思わんというか、送ってもビリビリに裂かれて捨てられるだけなんじゃねえか?」
「いや、ダスクよ。破かれようが、一度ちゃんとした形でこちらの気持ちは伝えておく、それが大事ということじゃろうて」
「はい、ヒースさん。そのとおりです」
部屋の中にいた老アークデーモン・ヒースに対し、フォルはうなずく。
ここまで、口頭ではローレシア王やサマルトリアの王子に気持ちを伝えたことがあるが、きちんとした形でロトの子孫の国々には伝えたことはない。まだ教団再建は途上ではあるものの、この段階で一度、ロンダルキアからの親書という形で意思を伝えるべきという判断である。
「そうか。ま、ロンダルキアのためにやってるということはわかる。好きにやれ」
ありがとうございます、とフォルは頭を下げた。
「バーサーカーの皆さんやデビル族のみなさんも、内心は反対ですよね」
「フン。お前のヘタレ進行には慣れた。やりたいようにやれ。族長も納得してる」
「同じだ。好きにするがいい。我々はついていく」
本棚に寄りかかって腕を組んでいたバーサーカーの少女・シェーラも、ダスクと一緒に報告のために部屋に入ってきていたデビルロードの首領も、それぞれ答える。
「タクトさんは……反対、ではなさそうですね」
「うん、面白そうじゃん? あ、そうだ。大灯台でサマルトリアの王子に服代を請求されてまだ払ってないと思うから、金と銀を一緒に詰めこんどこうよ。『ロンダルキアでは超貴重な金銀です。王子のために死ぬ気でかき集めました』とか添えてさ。どんな返事くるのか楽しみ」
この蛇足な提案に、褐色の少女があんぐり口を開く。
「返事なんて来るわけないだろ……。それに実際ロンダルキアでは金銀は貴重なんだよな? あげていいのか?」
「それがさあ。堀の工事現場から出てきちゃったんだよね。金や銀が入っている鉱石がゴロゴロと。ねえ? フォル君」
「はい。恥ずかしながら私には普通の石にしか見えなかったのですが。タクトさんが気づいてくださって」
「以前からフォル君に『何か出るか
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