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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
XV編
第203話:天空は墜とさせない
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に名を轟かせる歌姫なのだ。アイドル事情に詳しくない者の中には、この3人で一つのユニットと思い込んでいる者も少なくない位の黄金の組み合わせと言っても過言ではない。
その3人が一堂に会して歌うなど、ファンでなくても興奮するのは当たり前の事であった。
「うっそぉっ! マリアさんッ!」
「マリアの奴、急に来れなくなったかと思ったらあっちに行ってたのか」
「聴く側じゃなくて歌う側に居るなんて……」
「でもその方がマリアらしいのデスッ!」
新たな歌姫の参戦に響達も興奮を隠せない。マリアを交えて、舞台の上では奏と翼がキラキラな汗を飛び散らせながら心の底からの歌を紡ぎだしている。3人の歌姫の歌が、会場を包み込み魂を震わせるほどの熱気を生み出していた。
その様子を、遠く離れたビルの上から見ている者達が居た。黒髪に赤いシャギーを入れた、耳が異様に長くとんがった少女ミラアルク。それと複数のメイジであった。
ミラアルクは手元の端末でライブの様子の中継を見て、面白くなさそうに鼻を鳴らした。
「フン、楽しそうにしやがって……羨ましいぜ」
そう呟く彼女の言葉には、妬み僻みの他に羨望が感じられた。自分と彼女達で何が違っていたのだろうかと、意味のない事を考えてしまう程に。
胡乱な目で手元の端末を見ていたミラアルクだったが、その彼女の手から徐に端末が奪い取られた。彼女が顔を上げると、そこには他のメイジと違い灰色の仮面をした幹部のベルゼバブが彼女を見降ろしていた。
「何時まで呑気にしているつもりです? もう十分でしょう。さっさと始めてください」
「言われなくても、分かってるんだゼ」
不遜なベルゼバブの言葉にミラアルクは不快感を隠そうともせず返し、錬金術を用いて会場の上空に術を展開。そこから無数のアルカノイズを会場に送り込み、コンサート会場を阿鼻叫喚の地獄絵図に変える事が彼女達の目的であった。
会場がアルカノイズに襲撃された混乱に乗じて、ジェネシスの魔法使い達が適性のありそうな人々を次々と誘拐しサバトに掛け魔法使いを生み出していく。あれだけの人数が居れば、何人かは新たな魔法使いになれるだろう。
それに、風鳴 訃堂からの依頼もある。自身の目の前で観客の命が奪われ、攫われたとなれば、翼は己の無力さに気付く。そしてその無力感に苛まれた心に付け込んで、彼女から歌を奪いただ只管に剣として生きる事を刷り込む事が訃堂の目的であった。
人々の笑顔で溢れるコンサート会場を地獄絵図に変える。その事に対して、若干の罪悪感と後ろめたさをミラアルクも感じないではなかった。だが、しかし……
――もう、止まれない……ウチらは、戻るんだ……!――
心が挙げる悲鳴にそっと蓋をして、ミラアルクは錬金術を用いて会
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