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第四十話 領主の実力
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差を理解できるはずなのだが、退却という選択肢はないらしい。

「た、ただのこけおどしです!みなのもの、やってしまいなさい!」

それを合図に四人が武器を構えて突っ込もうとしたとき、その四人に向かってルシフェルから魔法が放たれた。速い弾速だが直線的な動きなため、その軌道上から外れようとした。

「甘いなぁ」

しかし、直線的な弾道を描いていた魔法は突如二十を超える量の魔弾となった。驚きながらも急いで射程圏外に外れようとする前衛の四人だが、間に合うはずもなくもろに食らってしまう。しかし、魔法自体にはさして攻撃力がないのか大した削りには至らなかった。安堵と同時にルシフェルに対して大した実力がないな、と嘲笑いを起こそうとしたとき、四人がいる空間が爆ぜた。
大音量とともに空間を焼き尽くす炎。ALOの中で広域殲滅型魔法に位置づけされるそれは容赦なく、空間とともにウンディーネ達を焼き尽くす。しかし、真に恐るべきはそれではなかった。この手の魔法は広域殲滅ということでつかう状況が極端に限られ、強力ゆえにスペルワードが長いため、扱いづらいという評価を受けるものだがルシフェルはそれを難なく使いこ成すだけではなく、長いスペルワードをほんの数秒で唱えてしまった。円環状に現れた文体を数えてみた結果、二十は下らない数のワードがあったにもかかわらず、である。

「詠唱から発動への時間が短すぎる気がするな・・・もしかしたらシステムの認識が及ぶギリギリで唱えているのか・・・?それなら納得するが、無茶苦茶にもほどがあるだろ・・・」

ここにルナやアスナあたりがいたのなら、あなたも大概よという突っ込みを入れていただろうが、悲しいかな、その当人たちは今ここに存在しない。
一気に約半分を倒したルシフェルは残るウンディーネプレイヤーとテリュスに向かって口を開いた。

「まだ、やるのか?」

「あ、当たり前です!先ほどのようなものはまぐれに決まっていますっ!?」

明らかに虚勢だということが丸解りな態度だが、逃げる者は一人もいなかった。その度胸をもっとほかに向けろよとソレイユは心の中で突っ込む。
対してルシフェルは一度大きく溜息を吐くと、再びスペルワードを唱えていく。

「エンチャント:ブラック・ライトニング」

普段なら魔法名は詠唱する必要はないのだが、ルシフェルが聞き覚えのない魔法名らしきものを唱えた瞬間、ルシフェルはオーラらしき何かを纏った。それを見たテリュスは驚愕の表情でヒステリックに叫んでいた。

「ば、ばかなっ!?なぜ貴様のようなやつがそれを持っているんだっ!?そ、それは・・・その魔法はぁ・・・っ!?」

「≪ストリーク・デス≫」

その魔法名が紡がれると、テリュスたちの上空に暗雲が立ち込め、そこから複数の黒い雷が降り注いだ。それを
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