第十九話 ハンデその四
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「別にです」
「どうでもいいのね」
「それを言えば誰でもですね」
こうも言ったのだった。
「差別されますね」
「それ言うとね」
アイルランドの娘は真剣な顔で答えた。
「私アルイランド生まれでしょ」
「色々ありましたね」
「ええ、イギリスとね」
「そうですね」
「何百年もね」
十二世紀からのことだ。
「イギリス、イングランドね」
「あちらの支配を受けて」
「それでよ」
「ずっとですね」
「農作物刈り取られたりね」
イングランドがその為の部隊を送り込んできたのだ。
「他にもクロムウェルとかね」
「アイルランド侵略ですか」
「法律まで定めて」
「酷かったですね」
「ずっと下に扱われていたのよ」
「イングランドと比べて」
「スコットランド、ウエールズもあったけれど」
「アイルランドはですね」
「下でね」
イングランドよりもというのだ。
「結構以上によ」
「大変でしたね」
「特にね」
アイルランドの娘は嫌そうに述べた。
「ジャガイモ飢饉ね」
「十九世紀中頃の」
「あれで人口の半分が移住したのよ」
そうしたことを話した。
「アメリカとかにね」
「そこまで酷い飢饉でしたね」
「ケネディ家もね」
アメリカで大統領を輩出し今も政界に存在しているこの家もというのだ。
「アイルランド系でね」
「あの飢饉からですね」
「移住してね」
「アメリカで暮らしていますね」
「そうよ、本当にね」
「大変でしたね」
「大勢の人が餓死したし」
そのジャガイモ飢饉でだ。
「イングランドとはね」
「色々ありましたね」
「それで今もよ」
「因縁が残っていますか」
「差別のね、差別はね」
これはというのだ。
「民族や宗教の違いでね」
「何処でもありますね」
「人種とかね」
「そういえばです」
白華はアイルランドの娘に気付いた顔になって言った。
「ケネディ家が移住したアメリカですが」
「アメリカも差別あるでしょ」
「アフリカ系の人達への差別だけでなくて」
「その他にもね」
それこそというのだ。
「アイルランド系も差別されたし」
「移住した頃は」
「イタリア系もでアジア系もね」
「ヒスパニックの人達も」
「ええ、ただアメリカ人の中でよね」
「差別されていますね」
「アメリカってアメリカで暮らしていても」
「アメリカ人とみなされていない人達がいますね」
白華は深刻な顔で話した。
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