第十九話 ハンデその三
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「困りますね」
「もうね」
「その分ね」
「かなり困るわね」
「そうなるから」
「だからです」
それでというのだ、白華は真剣に考える顔になってそのうえでクラスメイト達に対して言うのだった。
「障害を持っている人への偏見は馬鹿ですね」
「自分もね」
「そうなるかも知れないしね」
「怪我したりして」
「それで」
「はい、障害を馬鹿にしますと」
そうしたことをする輩はというのだ。
「何時かです」
「自分がそうなる」
「そうなるかも知れないからね」
「時として」
「それでそうした時にね」
「どうなるか」
「私も今は寝違えている位ですが」
それがというのだ。
「一生のものになる怪我をしたりすることもです」
「誰だってあるしね」
「交通事故とかでもね」
「普通にあるしね」
「世の中ってそうしたことも」
「ですから障害者の人達への差別は駄目です」
強い声で言い切った。
「勿論他の人達への」
「あの、何かね」
ここでアイルランドの娘が言って来た、淡いブロンドの髪の毛と紫の瞳が何処か妖精の様に見える。
「日本で部落とか」
「被差別部落ですね」
「そうしたお話あるわね」
「はい、あります」
白華はその通りだと答えた。
「関西では多いですね」
「私達が今いる兵庫県でもね」
「大阪でもですよ」
白華はこちらもと話した。
「あります」
「部落のお話が」
「それで何かとです」
「差別もあるわね、あのね」
アイルランドの娘は白華に首を傾げさせつつさらに話した。
「破戒っていう小説読んだのよ」
「島崎藤村のですか」
「前からそうしたお話を聞いていたけれど」
部落、被差別部落のそれをというのだ。
「その本を読んでね」
「意識したんですか」
「今も」
「そうですか」
「何でお肉とか革とか扱っていてね」
そうした仕事に就いていてというのだ。
「差別されるのか」
「そうしたハンデがあるかですね」
「私わからないけれど」
「それはです」
すぐにだ、白華はアイルランドの娘に答えた。
「死への穢れです」
「穢れね」
「殺生をしていますので」
そうした仕事の人達はというのだ。
「それでなのです」
「穢れていて」
「それで、です」
その為にというのだ。
「差別されています」
「そうなのね」
「はい、ただこの差別も」
白華は難しい顔で話した。
「この学園にもいますよ」
「被差別部落の人達が」
「はい、誰がそうであるか私は知りませんが」
もっと言えば知るつもりもない、彼女にとってはどうでもいいことであるからだ。
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