フェアリィ・ダンス編〜妖精郷の剣聖〜
第三十八話 妖精郷での出会い
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なかったのだろう。
「あのー、その、えっと、もしかして男性プレイヤーの方ッスか・・・?」
カウンターに突っ伏すソレイユは涙目の上目使いで武器屋の店主の言葉に頷く。男であるとわかったがその姿に顔を赤くする店主。さらにそれを見たソレイユは落ち込み度を上げてしまう。時たま女装して相手の反応を見て楽しむ癖はあるが、よもやそれが常時付きまとうとなるとさすがにいやになってくる。
「とりあえず、刀、あるか?できれば結構できのいい奴」
これ以上落ち込んでいても話が進まないので、気を取り直して目的を告げると店主はこんなのはどうでしょう、と店の奥から取り出してきた。
「銘は【エクリシス】。今ウチにある中で一番の刀ッス」
店主から受け取り、黒塗りの鞘から引き抜いてみると黒い刀身が紅く淡い輝きを絶えずやどしている。見る者をすべてを魅了するであろうその刀をしばしの間見つめていると、徐に店主に向きなおり聞いた。
「素振りしてもいい?」
「もちろんOKッスよ」
店主の了解を得たソレイユは少し距離を取ると居合いの構えを取る。一息つき体全体の力を抜き、柄に手をかけた瞬間―――
「・・・ヘ?」
そう呟いたのは武器屋の店主。何が起こったのか理解できないような素っ頓狂な顔でソレイユを見ていた。その理由は、あまりにも早すぎる抜刀のため、影を追うのがやっとだったためである。その後も淡い紅色の残光を残しながらヒュンヒュンと何度か振るった後、納刀し呆けている武器屋の店主に向きなおった。
「いい刀だな。これにする、いくら?」
「はえ・・・え、えっとッスね・・・少しばかりお値段が高くなるんすけど・・・」
おずおずとした様子で値段を提示する店主だったが、それを聞いたソレイユは何のためらいもなくその提示した額を差し出した。それに再び呆けてしまう店主は今度は遠慮がちに聞いてきた。
「あの・・・新人の方、ッスよね・・・?」
「わけありなんだよ・・・ああ、あともう一本刀が欲しいんだけど・・・この刀と同等以上のものある?」
その言葉に店主は申し訳なさそうに答えた。
「すみませんッス・・・今その刀と同等以上のものはないんッスよ・・・」
「そうか・・・わかった・・・ンじゃ、仕方ないか」
ぺこぺこと頭を下げす店主にソレイユは服屋がどこにあるのか尋ねた後、武器屋を後にした。だが、その後の服屋でも女性プレイヤーと間違われ危うく女性物を着ることになりそうだったソレイユは本気でネカマでもやってやろうか、などと考え始めていた。
◆
「装備をそろえたから次は戦闘、か。とりあえず、近場で狩ってみるか」
インプ領とは岩山の中に穴を掘った形で出来ているため、必然的に領地周辺のフィールドは山岳地帯
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