第二章
[8]前話
「お部屋の中でしょっちゅうぶつかって」
「床柔らかかったけれど転んでばかりで」
「怖かったわ」
「危なかったわ」
「目が見えなくて耳が聞こえないと」
「どうなるかわからないわ」
「そうだな、事故にだって遭いやすいしな」
父は娘達に話した。
「誰かが傍にいて手を引いてもな」
「見えないし聞こえなくて」
「何処かに連れて行かれるかもね」
「ヘレン=ケラーさんはそんな世界で暮らしていたんだ」
彼女はというのだ。
「ずっとな」
「大変だったわね」
「見えなくて聞こえないなんて」
「それもずっとなんて」
「怖いわ」
「その怖さに勝ったんだ、そして身体の何処かが悪いとな」
「こうしたことになるのよ、手や足が悪くてもね」
母は娘達にこう話した。
「同じだから」
「身体の何処かが悪いと」
「大変なのね」
「ヘレン=ケラーさんは最初はちゃんと見えて聞こえていたでしょ」
生まれたばかりの頃はというのだ。
「けれど病気でそうなったわね」
「熱が出てよね」
「それでよね」
「そう、誰でも身体が悪くなる場合があるの」
今は健康で丈夫でもというのだ。
「そのこともね」
「覚えておかないと駄目ね」
「そうなのね」
「そうよ、誰でも何処かが悪くなることがあるのよ」
「そのことを覚えておいてくれよ」
父は娘達に優しい声で言った。
「ヘレン=ケラーさんそして身体の何処かが悪くなることもあることをな」
「そうした人達のことを知って優しくしてね」
また母が話した。
「自分がそうなっても落ち込まないでね」
「ヘレン=ケラーさんみたいに頑張るんだ」
「そしてヘレン=ケラーさんみたいに立派で優しくなってね」
「うん、そうなるね」
「私達絶対にね」
姉妹は心に誓った、そうして遊園地の他の場所も連れて行ってもらって楽しんだ。
やがて二人は多少やんちゃに育ちファッションは派手で口調も柄の悪いものになった、だが人の道は決して外れず尊敬する人はヘレン=ケラーと言って優しかった。そしてそれぞれ障害を持つ人達の為の仕事に就いた。そんな二人を両親は笑顔で見守ったのだった。
ヘレン=ケラーは何故素晴らしかったのか 完
2024・5・25
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