第二章
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「もうそれこそな」
「盗んで食え」
「それも遊んで」
「それが人生だな」
「そや、金貰うだけや」
強盗を働いてというのだ。
「それやとやったるで」
こう言ってだった。
彼は仲間達を連れてそうして脇坂家にまだ暗い早朝忍び込もうとした、だが一番家の中の誰もがうごいていないだろうその時にその家の中を覗くとだった。
何と庭でだ、一人の老人が日本刀で素振りをしていた、それを見てだった。
彼は仲間達にだ、真っ青になって言った。
「帰ろか」
「おい、日本刀か」
「あれ真剣だな」
「あんなの振ってるとな」
「洒落になっていないな」
木々に池まである見事な庭の中で刀を振っている彼を見つつ言った。
「家には行ったら真っ二つだぞ」
「首刎ねられるぞ」
「命あってだしな」
「じゃあ帰るか」
「他の家から盗むで」
こう言ってその場を去った、だが途中で彼等は猪に襲われて重傷を負い担ぎ込まれた病院で身元がと悪事がばれてだった。
治療の後で国外追放となった、そして母国で全員チンピラ同士の抗争に巻き込まれて死んだのだった。
ゆみりはそんなことは知らず夫に尋ねた。
「お義父さんは毎朝ですね」
「ああ、昔から暗いうちから起きてな」
夫はそれでと話した。
「日本刀で素振りしてな」
「鍛錬をされていますね」
「うち古い家だからな」
「刀もありますわね」
「何本もな、中には家宝もあるよ」
「そうですわね」
「あと山で害獣の駆除もするからな」
だからだというのだ。
「銃だってな」
「ありますわね」
「幾つもな」
「そうですわね」
「親父も俺も狩猟の許可持ってるしな」
害獣駆除の為にというのだ。
「だから何かあればな」
「山に入っていますわね」
「それで昨日撃った鹿をな」
「はい、今日は調理しますね」
「内臓も食おうな」
「隅から隅まで」
夫婦でこうした話をした、彼等にとっては何でもないことだったが。
「脇坂家は仲に刀や銃が一杯あってな」
「家族も使うからな」
「絶対に盗みに入るな」
「殺されるぞ」
悪者達はこう言って近寄らなかった、それで脇坂家は今日も平和なのだった。彼等が自覚していないことで。
究極の護身具 完
2024・5・24
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