第一章
[2]次話
究極の護身具
脇坂家はその辺りで昔から知られた地主である、広い土地で林業に不動産を行っていて羽振りがいい。
それで地元でかなりの資産家であるが。
「あの家は止めておけ」
「あの家には泥棒に入るな」
「近寄るな」
「あの家はスルーだ」
脇坂家が暮らしている県の窃盗を生業にしている者達は口々にこう言って近寄ることさえなかった、それでだった。
脇坂家は平和だった、資産があるので戸締りは厳重であったがそれ以上にだった。
悪者達は近寄らなかった、それで家に嫁いだゆみり穏やかな顔立ちで黒髪を後ろでツインテールにした大きな黒目がち丸い目の一五四位の背の上品そうな彼女は夫の龍太郎大柄で逞しい身体できりっとした顔立ちに短い黒髪の彼に尋ねた。
「やはり世の中物騒ですし」
「うちは資産家で知られているからか」
「泥棒が来ることも考えられますね」
「だからセキュリティは気を使ってるよ」
夫は妻に話した、共に二十代である。
「やっぱりな」
「そうですね、ですが」
「ああ、あの噂か」
「はい、何でも我が家はそうした人達から避けられているとか」
「らしいな」
「どうしてでしょうか」
「さてな、けれど近寄らないならな」
そうした者達がというのだ。
「それに越したことはないだろ」
「そうですね、最初から」
「だからな」
「それでよしですね」
「悪い連中は来ないのが一番だよ」
最初からとだ、夫は妻に笑って話した。
「だからな」
「これでよしですね」
「そしてな」
そのうえでというのだ。
「セキュリティはな」
「このままですね」
「厳重にしていこうな」
「それでは」
こうした話をしてだった。
脇坂家は夫婦だけでなくゆみりから見て義父簿にあたる家の主達に義妹夫婦とそれぞれの夫婦の子供達と共にだった。
セキュリティに気を付けつつ平和に暮らしていった、それでも悪者達は自分達の方から近寄らなかった。
だが悪者もそれぞれで中には愚か者もいる、コウキ=ドマゾケツバットとある国から来た不法入国者の彼はそんな話を一切信じずだ。
仲間を連れて脇坂家で強盗をしようとした。
「ええか、金のあるモンからや」
「取って何が悪い」
「その金で遊んで暮らす」
「それが正しい生き方だよな」
「働いたら負けや」
彼はこうも言った。
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