第一章
[2]次話
おもちゃ会社も大変
藤田茜は八条ホビーの社員である、おもちゃを扱う企業なので日々おもちゃのことが頭にあるのだが。
今彼女は自分の会社が出している野球盤を観て言った。
「これずっとありますね」
「ああ、昭和の頃からな」
上司の中沢誠眼鏡をかけて長方形の顔に小さな目とセットした黒髪の四十代の背の高い彼が応えた。二人共スーツで藤田は膝までのタイトスカートだ。彼女の外見は大きな猫の様な目と口元でやや長いあちこちはねた赤髪である。背は一六〇位でスタイルはかなりいい。
「あるゲームだ」
「そうですね」
「これの新作をな」
「出しますね」
「そうだよ」
「それで開発するが」
「あの、もうです」
藤田はそのゲーム、会議室のテーブルの上に置かれたそれを見つつ言った。
「このゲームこれ以上のアレンジは」
「出来ないか」
「そうじゃないですか?」
「そうだ」
中沢もそれを否定しなかった。
「もうな」
「アレンジし尽くされて」
「これ以上はな」
「変わらないですね」
「新しい機能はな」
これはというのだ。
「ないな、だから細かいところをな」
「変えていきますか」
「そうだ、それを考えていくぞ」
「わかりました」
藤田は中沢の言葉に頷いてだった。
実際に他の社員達と一緒にアレンジを考えていった、誰もがああでもないこうでもないと何日も何時間も話して。
そうして新商品となった、だが売れ行きは。
「例年と変わらないな」
「そうですか」
「ああ、やっぱりな」
営業部の先輩で子煩悩で知られる横田義男、小さな切れ長の目で愛嬌のある顔立ちの一七〇位の背のまだ三十だが髪の毛に白いものが混じってきている彼が話した。
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