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毛が伸びるのに注意
第二章

[8]前話
 そしてだ、美容院から連絡が来ると迎えに来たが。
「クゥン」
「よし、奇麗になったな」
「刈ってもらったな」
 親子ですっかり毛が短くなったふわりを見て言った。
「身体も洗ってもらったし」
「よかったな」
「ああけれどな」
 それでもというのだった。
「ふわりはな」
「あまり楽しそうじゃないな」
「だから刃物がな」
 鋏がというのだ。
「バリカンもな」
「好きじゃないからか」
「だからな」
 その為にというのだ。
「ずっとそれに接していたからな」
「ストレス溜まってるんだな」
「そうだ、だからな」
 父は息子にそれでと話した。
「家に帰ってな」
「そうしてか」
「まずはご飯とミルクあげてな」 
 そうしてというのだ。
「それからな」
「散歩もか」
「連れて行くな」
「ふわりの好きなことばかりだな」
「いてやるんだ」
「そうするか」
「ふわりは頑張っただろ」
 笑顔でこうも言った。
「我慢しただろ」
「美容院でな」
「毛は定期的にな」
「刈らないとな」
「さもないと駄目だ」
「前に話した通りな」
「伸び過ぎたら汚くてな」 
 そうであってというのだ。
「よくないからな」
「そこから病気にもなるしな」
「ああ、けれど刃物を怖がるんだ」 
 ふわりはというのだ。
「だからな」
「ずっと我慢してストレスが溜まっていて」
「それでな」 
「これからはか」
「ああ、家に帰ったらな」 
 それからはというのだ。
「ご飯とミルクにな」
「散歩か」
「その後はな」 
「好きなだけ寝させるか」
「寝るのはな」
 これはというと。
「ふわりが特に好きなものだろ」
「それが趣味だな」
「散歩と遊びとな」
 それにというのだ。
「寝ることがな」
「ふわりの趣味だな」
「何なら散歩の後でな」
「遊ぶこともか」
「相手してやってだ」 
 そうしてというのだ。
「その後でな」
「寝てもらうんだな」
「そうなる様にしような」
「そうか、じゃあな」
「ああ、頑張ったふわりにご褒美だ」
 こう言ってだった。
 ふわりが家に帰るとドッグフードにミルクをあげて散歩に連れて行った、それから少し一緒に遊んでだった。
 ふわりはその後で満足した顔でケージの中で眠りに入った、一家はそんな頑張った彼女を笑顔で見たのだった。


毛が伸びるのに注意   完


                  2024・5・24
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