激闘編
第八十六話 国境会戦(前)
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隊旗艦ブリュンヒルト、
ラインハルト・フォン・ミューゼル
「機雷原だと」
「はい、ラインハルト様。叛乱軍十三艦隊が潜む小惑星帯と我々の間には広範囲に渡って機雷が敷設されています。戦闘艇を偵察に出したのが正解でした」
迂回するか…いや、敵は時間稼ぎの為に機雷を敷設したのだろう、迂回は敵の目論見通りという事になる。それに時間稼ぎをするという事は敵に増援があるのは確定的という事になる。となれば尚更時間をかける訳にはいかないな…。
「使ってみるか」
「使ってみる…指向性ゼッフル粒子ですね」
やはりお前は最高だ、キルヒアイス…やっと開発の終わった指向性ゼッフル粒子、こいつがあれば機雷原に通路を穿つ事が出来る。
「キルヒアイス、各分艦隊に連絡だ。作戦を説明する」
キルヒアイスがビッテンフェルトに目配せすると、ミュラー、ビッテンフェルトそれぞれが動きだした。
“閣下もお人が悪いですな”
「作戦の主旨は以上だ。人が悪い、か……ロイエンタール、半個艦隊規模とはいえ、あの艦隊は精鋭だ。でなければ単独でこの宙域を任される筈がない…それに、先年の様な醜態を晒す訳にはいかないのでな……ワーレン、卿には別任務を与える。卿の分艦隊は五百隻と規模が小さい。だがそれ故に敵の目を引きにくい。ミッターマイヤー、ロイエンタールが機雷原に道を作れば、敵の目はそちらに向くだろう。卿は機雷原を迂回して小惑星帯に潜り込むのだ」
“成程。敵の第十三艦隊に側面から奇襲を行えという事ですね”
「そうだ。敵はもともと少数、五百隻とはいえ効果は大きいだろう。攻撃開始のタイミングは卿に任せる」
9月30日06:00
フォルゲン星系第七軌道、自由惑星同盟軍、第十三艦隊旗艦ヒューベリオン、
ヤン・ウェンリー
「ヤン…司令官、どうやら帝国は指向性のあるゼッフル粒子を開発した様ですな。でなければあれ程綺麗に啓開路を作れる訳がありません」
ラップの言葉を肯定するかの様に、機雷原にぽっかり空いた二つの穴から帝国軍の艦艇が続々と吐き出されて来る。
「そうみたいだね…十時方向の穴から出て来る敵はアッテンボローに対処させよう。二時方向はフィッシャー提督に」
“了解しました。目に物を言わせてやりますよ”
「アッテンボロー、無理はするなよ」
“分かってます”
アッテンボローも分艦隊司令としては初陣、私も艦隊司令官としては初陣…初陣ってやつはもっとオーソドックスな、勝てそうな戦いで望みたいものだが…。
「敵の通信を傍受した結果、どうやら敵はミューゼル艦隊の様です」
ムライ中佐が敵はミューゼル艦隊と告げてきた。ミューゼル…イゼルローンで一度見た事がある。有能そうな若者だった、ウィンチェスターが最も危険視している帝国の若き指
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