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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
激闘編
第八十六話 国境会戦(前)
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月一日の予定です」
「第十艦隊は遅れているな。故障艦の影響か」
「その様です」
少数の故障艦など後から寄越せばいいものを…。
「イゼルローン駐留艦隊はどうか」
「要請はしましたが、駐留艦隊の移動開始には時間がかかりそうです。あそこは今、新兵の訓練施設と変わりありませんから」
そうだった。前線がアムリッツァに移動したので、イゼルローン要塞は中継基地と化していた。シトレ閣下の行った四百万人削減の影響で、イゼルローン要塞の福利厚生はすべて民間に委ねられている事もあり、要塞宇宙港や要塞内部施設のおよそ半分が民間に解放されている。今ではイゼルローン要塞の観光ツアーが組まれる様になっている有り様だった。そして新兵や下士官の中級教育はイゼルローン要塞で行われる様になっていた。当然駐留艦隊は教育の一環として彼等を真っ先に受け入れる訳だが、そうなると練度の低下は当然の帰結だった。
「そうだったな、すっかり忘れていたよ。当然、新兵達も乗組んでいるのだな?」
「おそらくは」
「仕方ない。彼等にはアムリッツァで待機してもらおう。ウランフ提督にはその旨伝えてくれたまえ」
…戦いはまだ始まったばかりだ。第十艦隊が到着すれば状況は好転するだろう…。


9月30日01:45
フォルゲン星系、銀河帝国軍、ミューゼル艦隊旗艦ブリュンヒルト、
ジークフリード・キルヒアイス

 「閣下、艦隊はフォルゲン星系に入りました。メルカッツ艦隊もまもなく星系外縁に到着です」
「了解した。キルヒ…参謀長、この宙域にも既に叛乱軍艦隊が展開していた筈だが」
私を呼ぶのに参謀長と言い直すラインハルト様を見ると、つい吹き出しそうになってしまう。面白くないのだろう、ラインハルト様の顔は少し膨れていた。
「申し訳ありません…はい。叛乱軍、第十三艦隊が存在する筈です」
「またあの艦隊か…」
「第十三艦隊には違いありませんが、どうやら司令官の交替があった様です。艦隊司令官はヤン・ウェンリー少将…という事ですが」
「ヤン・ウェンリーか…イゼルローン要塞で会った。『エル・ファシルの英雄』だな」
「はい。昨年の戦いにも第十三艦隊の参謀長として参加していた様です」
「となるとあのヤマト・ウィンチェスターの後継という事だろう…参謀および各分艦隊司令を集めよ。一時間後だ」

ミューゼル艦隊:一万三千隻
艦隊司令官:ミューゼル中将
艦隊参謀長(副官兼務):キルヒアイス准将
同参謀:ミュラー大佐
同参謀:ビッテンフェルト大佐
分艦隊司令:ミッターマイヤー少将
同司令:ロイエンタール少将
同司令:ワーレン准将

 私がこの艦隊の参謀長となった後、今は少将となられた前任のケスラー少将、同じく少将となったメックリンガー少将はラインハルト様の推薦で宇宙艦隊司令部入りを果たして
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