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英雄伝説〜黎の陽だまりと終焉を超えし英雄達〜
第34話
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〜旧首都イーディス一区・ヴァンタイユ地区・総督情報省統合分析室〜



「――――――ラングポートの報告、読ませてもらったわ。複雑な状況だったようだけど分かりやすくまとまっていたわ。さすがの遠隔(リモート)管理(マネジメント)ね、キンケイド君。」

北カルバード州の総督府のある一角で黒髪の女性は自分の目の前に立つキンケイドを称賛していた。

「いえ、本当なら私自身が出向くつもりだったのですが。さすがに黒月のお膝元でA級に”鉄血の(アイアン)子供達(ブリード)”、更には”起動者(ライザー)”もいるとなると困難でした。」

「だからこそ”かき回し役”を当て込んで効率的に状況をコントロールしたと。良い判断ね――――――おかげで現地の秘匿職員(スリーパー)も助かったことでしょう。A級さん共々、君の昔馴染みだったかしら?」

「…………ただの腐れ縁ですよ。それに”かき回し役”の方はメンフィル帝国にとってもそうですが、”我々”にとっても余計な事をしでかしてくれたようですし。」

黒髪の女性の指摘に対して眼鏡を指で押し上げて答えたキンケイドはヴァンを思い浮かべて呆れた表情で溜息を吐いて呟いた。

「まあ、それについては仕方ないわよ。むしろ”槍の聖女”という”生ける伝説”を相手に交渉を成功させたその手腕を称賛すべきでしょうけど…………ふむ。『アークライド解決事務所』――――――最新のレポートを貰えるかしら?ここ最近の”従業員”やその”協力者”である異種族も含めて。」

キンケイドの言葉に対して苦笑しながら指摘した黒髪の女性は少しの間考えた後キンケイドにある指示を出した。

「了解しました。後ほど部下に提出させます。自分はこれで――――――失礼します、ロウラン室長。」

「ええ、よろしくね。」

黒髪の女性の指示に答えたキンケイドは退出した。

「フフ、有り余る優秀さと隠そうともしない野心…………少し独断専行が過ぎるけれど若いうちはそれもいいでしょう。…………しかしかの元結社の関係者にかつてのクロスベルの古参のマフィアの若頭まで交えた”エースキラー”に今のカルバード、そして”A”にどう絡んでくるのか…………”助っ人”も来るみたいだし、久しぶりに連絡してみようかしら?」

キンケイドが退出した後苦笑しながらキンケイドを評価した黒髪の女性はある人物を思い浮かべて静かな笑みを浮かべた。



〜遊撃士協会・イーディス支部〜



「ぶえっくしょい!!」

一方その頃イーディスにある遊撃士協会の支部でジンが大きなくしゃみをした。

「ジンさん、まさか風邪ですか?」

「ズズ…………いやぁ、大丈夫さ。どこぞのご婦人に噂でもされたかねぇ。」

「ふう、冗談はさておき。――――――報告を続けてちょ
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