第七百五十二話 苗字がない家その五
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「ずっとね」
「そうだったのね」
「確かに粛清は悪いことだけれど」
命を奪うからだ。
「けれどあの国、宋で軍閥はね」
「ご法度よね」
「絶対のね、だからね」
「岳飛さんを処刑したのね」
「普通だったら将軍を辞めさせて」
そうしてというのだ。
「終わりだしね」
「それで何もしないわね」
「軍から追い出したわ」
そうしたらというのだ。
「もう何も出来ないから」
「宋の軍隊から追い出したら」
「ええ、けれど岳飛さんは」
「軍閥を持っていたから」
これを岳家軍と言う、まさに岳飛の家の軍隊という訳であり宋王朝にあっても王朝の下に直接ある軍隊ではなかったのだ。
「それを手放さなかったから」
「粛清ね」
「若し手放していたら」
その岳家軍をというのだ。
「秦檜さんもね」
「粛清までしなかったわね」
「引退させるか僻地に追いやって」
そうしてというのだ。
「状況が変われば」
「金と戦ってもらってもいいわね」
「有能なのは確かだから」
それ故にというのだ。
「若し金と戦って金を滅ぼせたら」
「滅ぼす為に必要ね」
「だから置いておけたら」
命を奪わずにというのだ。
「そうしたわよ」
「秦檜さんも」
「宋て文官が強くて」
これは敢えてそうしたのだ、科挙の試験を強化もしてだ。
「武官は弱ったから」
「今の連合みたいね」
「連合以上にね」
むしろというのだ。
「そうであってね」
「秦檜さんは文官だったのよね」
エイミーが言ってきた。
「そうよね」
「ええ、それでね」
そのうえでというのだ。
「岳飛さんは将軍、武官だから」
「秦檜さんの方が強いわね」
「圧倒的にね、宰相さんだったしね」
「余計によね」
「もう失脚させたり僻地に追いやったら」
「終わりだったわね」
「けれどどうして粛清までしたか」
それはというのだ。
「軍閥を持っていて」
「それを手放さなかったから」
「そうせざるを得なかったのよ」
「粛清したのね」
「兎に角軍閥を嫌ったから」
宋はだ、軍閥化していた節度使を抑えることで国を築いていった王朝であり軍隊を全て皇帝の下に置いたのである。
「それでよ」
「粛清したのね」
「秦檜さんだけのことじゃなくて」
「宋って国としてなのね」
「捨て置けなかったのよ」
そうだったというのだ。
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