第八十六話 野心家達の春
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、『皇帝が死んだ。オーストリ野郎を皇帝にしたく無いから手を貸せ』と、赤裸々に書くなんて……脇が甘いんじゃないですか? 叔父上」
フリードリヒは、先代のブランデルブルク辺境伯の嫡子と生まれたが、父親の弟であるヴィルヘルムがフリードリヒの父親を謀り、暗殺すると自らが辺境伯の座を奪い、フリードリヒを追放同然にゲルマニア騎士団に入団させた。
無理矢理、騎士団に入団させられたフリードリヒは、再び辺境伯に返り咲くべく、野心を内に隠して、表面上はヴィルヘルムに徹底した忠誠を尽くした。
徹底した忠誠にヴィルヘルムは、フリードリヒがゲルマニア騎士団の気風に染まったと思い込み、騎士団を完全に掌握しようと、あろう事かフリードリヒを総長にさせる支援を始めた。
元々優秀なメイジの才能持っていた事と、敵の支援を最大限に利用して、フリードリヒは20代前半でゲルマニア騎士団総長に登り詰めた。
ノックの後に、騎士が一人フリードリヒに報告してきた。
「総長、各騎士団の出動の準備が整いました」
「分かった。すぐに行く」
フリードリヒは返答すると、テーブルの上に置かれた鉄のグレートヘルムを小脇に抱え、騎士の後に続いて部屋を出た。
グレートヘルムのデザインは、頭部全体を包むグレートヘルムに牛の角を思わせる角が付けられていて、さらにその角には羽毛で装飾を彩られた、騎士団の総長に相応しい豪華なデザインだった。
まだ雪の降りしきるマリエンブルグ城。
城内に設置された練兵場には、主力を担う500人を超す完全武装した騎士たちと、彼らと共に戦う飛竜が集結していて、練兵場の外にはリヴォニヤ帯剣騎士団と呼ばれるゲルマニア騎士団の分団が800騎集結していた。
フリードリヒが率いる、主力のテュートン騎士が騎乗する全ての飛竜には、鱗の薄い部分を守る鎧と、騎士たちと同じ白地に黒十字のサーコートを着ていた。
一方のリヴォニヤ帯剣騎士は、白いサーコートは同じだが、赤い二振りの剣を交差させた紋章が描かれていた。
ゲルマニア騎士団は、僅か1000騎程度の軍勢ながら全員がメイジで、全ての団員が一騎当千の兵だった。
「諸君、集まっているようだな」
フリードリヒは騎士達の前に立つと、出陣の前の演説を始めた。
「ゲルマニア騎士団総出陣の今回の戦は、今までの様なモンスター相手のちっぽけな戦いではない。詳細は言えないが、我らの働き次第でゲルマニアの未来はいかようにも変わる大事な戦いだと思って欲しい!」
『オオッ!』
騎士たちから歓声が上がる。
騎士達の士気は上々、フリードリヒは今回の戦も勝利を確信し、フリードリヒは小脇に持ったグレートヘルムを被ると、出陣の命令を出した。
「では出陣
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