第百二十八話 人は強くなってもその十六
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「生徒にそうするなら」
「家庭でもね」
「奥さんやお子さんにね」
「機嫌が悪いってだけで」
「無茶苦茶殴ったり蹴ったり」
「本当にそんな奴とは別れて」
「逃げないとね、逃げるのもね」
そうすることもというのだ。
「いいのよ」
「ええ、逃げないと助からないなら」
留奈もまさにと応えた。
「逃げないとね」
「駄目よ、逃げるのは恥じゃなくて」
「勇気よ、敵に背を向けないんじゃなくて」
「背中を向けても助からないと」
「死んだら終わりよ、というかどうしようもない暴力を受けて」
そうした状況にあってというのだ。
「逃げなかったら」
「延々と殴られて蹴られて」
「下手したら死ぬし」
「そうでなくても痛い思いするから」
だからだというのだ。
「そこで逃げないとね」
「どうしろっていうのよ」
「そうなるわね、逃げるな我慢しろ自分の若い頃はそうだったとか」
「はっきり言って馬鹿の言うことよね」
「何かあって言った人責任取れるの?」
「どうせあんたも悪いで終わりでしょ」
例え暴力を受けた人に何があってもだ。
「それで」
「その人が怪我してもね」
「自分が我慢しろ、逃げるなって言った結果でも」
「自分が若い頃はどうとかって」
そうした意見はというのだ。
「今と昔違うし」
「昔が間違っていた」
「そうよね」
「暴力を振るうなんて」
「正しい筈じゃないから」
「もうね」
それこそというのだ。
「昔が間違っていたのよ」
「そう考えないとね」
「暴力は絶対駄目」
「逃げることも大事で」
時としてというのだ。
「我慢するものじゃないわよ」
「DV受けてる人にそんなこと言ったら」
暴力を我慢しろとだ。
「それで大怪我したり死んだらね」
「絶対にその人の責任よね」
「その時は許したら駄目よね」
「言い逃れしてもね」
「その人がそうしろって言った結果だし」
「責任取らせないとね」
こうしたことを言うのだった、そしてだった。
留奈は自分達のクラスの方に戻った、そうしてそこでかな恵達からよくやったねと言われて笑顔になったのだった。
第百二十八話 完
2024・4・1
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