第百二十八話 人は強くなってもその十四
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「勝手に言ってね」
「それで偉そうにしてね」
「そのことがまずね」
「あんた嫌なのね」
「そうよ、他にも嫌なこと多いけれど」
「逆に言えばいいところないわよね」
「巨人はね、その中でもね」
とりわけというのだ。
「盟主風吹かすのが」
「嫌なのね」
「法律で決まったの?」
巨人が球界の盟主であると、というのだ。
「大体」
「決まってないわよ」
留奈はすぐに答えた。
「全くね」
「それで自称してね」
そのうえでというのだ。
「やりたい放題やって正義みたいにプロパガンダして」
「本当に北朝鮮みたいに」
「そのことがね」
実にというのだ。
「嫌だったのよ」
「そうなのね」
「だから私巨人嫌いよ」
「まだ言ってるしね」
留奈も応えて言った。
「二十年連続最下位でね」
「勝率一割台のままで」
「それでもまだね」
そうした状況でというのだ。
「言ってるし」
「あそこまでいくと滑稽よね」
「過去の栄光にしがみついて」
そうしてというのだ。
「言ってるからね」
「痛いわよね」
「もう痛過ぎて」
「滑稽よね」
「そうよね、それで全然よくならないから」
弱いままなのだ、尚昔は野球人気は巨人人気がなくなったからだという奇天烈な論理のすり替えもあった、むしろ巨人の人気がなくなることは他チームに人気が向かうということで実にいいことであるがだ。
「駄目なのよね」
「そして駄目な巨人を見るのがね」
「最高よね」
「もうね」
それこそというのだ。
「あそこはね」
「弱いままでいて欲しいわね」
「未来永劫ね」
「巨人が存在する限り」
「もう最下位でいて欲しいわ」
「そして本拠地は平壌」
「そっちに行って欲しいわね」
「是非ね」
競技がはじまるまでの間こんな話をした、そしてだった。
留奈は競技に出た、それが終わってから退場したがここでまた北海道の娘に言った。
「最下位じゃなくてよかったわ」
「そう言うのね」
「ええ、それでね」
「結構いい順位だったじゃない」
「いや、私としてはね」
留奈は真面目な顔で話した。
「最下位でないならね」
「よかったの」
「もっと言えば参加することに意義があるで」
スポーツのこの考えも話に出した。
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