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金木犀の許嫁
第十八話 忍の家その十二

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「そちらも詳しい」
「そうなのね」
「それで人は怨みが強過ぎたら」
「怨霊になるわね」
「日本は怨霊のお話が多いけれど」
 歴史にも多く出る、平安京も怨霊を恐れて遷都され多くの結界がもうけられた。
「そのことを見ても」
「怨霊って怖いわね」
「そして怨霊になったら」
 その時はというのだ。
「もう人じゃなくて」
「別の存在ね」
「魔王」
 こう言ったのだった。
「もう」
「魔王って」
「日本じゃ魔王は人がなるから」
「そうなのね」
「太平記だと」
 この書ではというのだ。
「まさに」
「そうなってるの」
「そうだから、どなたとは言えないけれど」
「ええと、そこまでなの」
「物凄く怖い怨霊になられた方が」
 こう夜空に言うのだった。
「出ておられて」
「太平記に」
「それで乱を起こさせてるって」
 その様にというのだ。
「書かれているから」
「乱って戦争よね」
「うん」
 そうだというのだ。
「これが」
「そうなのね」
「夜空さん太平記は」
「読んだことないの」 
 夜空は正直に答えた。
「実は」
「そうなんだ」
「面白いの」
「吉川英治の作品があるから」
「あの三国志の」
「宮本武蔵も書いた」
「あの人が書いてるのね」
 夜空ははじめて知ったという顔で答えた。
「そうなのね」
「それで面白いから」
「読んでみたらいいのね」
「出て来る人が爽やかで」
 吉川英治の作風の特徴である、登場人物が爽やかで明朗であり読んでいて心地よい風になるのである。
「いいから」
「それじゃあ」
「そう、だから」
 それでというのだ。
「夜空さんもよかったら」
「読んだらいいのね」
「吉川英治の太平記を」
「そうなのね」
「それで」
 佐京はさらに話した。
「太平記に出ているから」
「魔王になった怨霊が」
「とある方がなられて」
 そうしてというのだ。
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