第三章
[8]前話
「気にしなくていいよ」
「そうなの」
「そうさ、遠慮は無用だよ」
こう言って学費を出してだった。
保護者面談にも出て愛奈が成績がいいと聞くと彼女に志望校を聞いてそこに行かせた、そして彼女が大学を卒業して就職しても家に住んでいいと言った。
それを受けてだ、愛奈は叔母に尋ねた。
「何で私にここまで」
「妹の子供だよ、当然じゃないか」
これが叔母の返事だった。
「ずっと私に懐いてた娘だったからね」
「お母さんは」
「大事にしてくれたんだよ、私を」
「そうだったの」
「結婚してから旦那さんとあんたに付きっきりになったけれど」
それでもというのだ。
「そんな娘でね」
「それで私も」
「そうさ、忘れが形見なんだよ」
愛奈はというのだ。
「あの娘のね、だからあんたが一人になってからね」
「一緒に暮らしてくれたの」
「それに一人暮らしの娘を放っておけるかい」
こうもだ、稲穂は言った。
「親戚のね、当然のことだよ」
「そうなの」
「そうさ、だからいい人と結婚して二人で暮らすまでは」
「ここにいていいの」
「好きにしな」
こう言って愛奈が就職してからも一緒に暮らした、やがてその愛奈が結婚して家を出るとだった。愛奈は。
時々夫そして息子が生まれるとその息子も連れて稲穂の部屋に定期的に戻った。そして家族に彼女のことを話し世話もした。自分のもう一人の母親だと言って。
だがまだ銀座でママをしている稲穂は背筋を立てて言うのだった。
「いいんだよ、そんなことは」
「けれど叔母さんがいて今の私があるから」
「私の好きな様にしただけだよ」
口ではこう言う、だがそれでも愛奈と彼女の家族を拒みはしなかった。来た時はいつもお茶を犯しを出して出迎えるのだった。口や態度はそのままでも。
怖い叔母さん 完
2024・5・21
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