第二章
[8]前話
「親父の言う通りにしていくよ」
「そうしたことは守れよ」
「そうしていくよ」
焼肉を食べつつ答えた、そして真面目な話が終わると二人はそこからビールも飲みはじめた。勝家は会長となり一線を退いた父の跡を継いでだった。
彼の言う通りに社員を待遇した、するとだった。
優秀な社員は残り他の社員達はやる気が出て業績を上げた、それで会社の経営は順調であった。それでだった。
息子は父にだ、こう言った。
「親父の言う通り待遇をよくしたらな」
「社員さん達は残ってくれてやる気も出てるだろ」
「ああ、切り捨てたり粗末にしないでな」
「会社の業績を上げたいならな」
それならとだ、父は息子に言った。
「やっぱりな」
「待遇からか」
「社員さん達のな、同じ人間でな」
社長と社員達はというのだ。
「会社を出たら何の立場も違いもないんだ」
「それで心があるな」
「そうだ、それがわかってるならな」
「待遇はちゃんとだよな」
「そうだ、これからもいいな」
「ああ、待遇は会社が出来る限りでよくしていくよ」
「よくするにも限界があるがな」
それでもとだ、父は言った。
「可能な限りでだ」
「やっていくよ」
「そうしろ、その考えでいたらな」
「会社もやっていけるな」
「これからもな」
「そうしてくな、俺も」
こう父に言った、そしてだった。
彼は実際に社員の待遇第一で経営をしていった、すると会社は苦し時があっても乗り越えて社内の雰囲気も良く満足すべき経営でいられた。
そして巨人を見ると低迷してかつての『球界の盟主』とやらの姿は何処にもなかった。どうしてそうかったか彼はよくわかっていた、そのうえで自分が社長を務める会社の経営を進めていくのであった。
主力を流出させるな 完
2024・5・20
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