第六十八話 高位の神霊達その五
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「そのうえで動いてる」
「本物の悪ね」
「キリスト教の悪魔、サタンが神様に勝てば」
その時はというと。
「自分が神様になって」
「それで正義になるわね」
「もう一方の正義なら」
悪魔、サタンがそうであるならというのだ。
「もうな」
「そうなるわね」
「神と悪魔の戦は」
キリスト教におけるそれはというのだ。
「善と悪か」
「ちゃうわね」
「正義と正義の」
二つのというのだ。
「衝突やともな」
「考えられるわね」
「ゾロアスター教みたいに」
羅はこの宗教の話もした。
「善悪やって考えもあるけど」
「そうした考えも出来るわね」
「失楽園を読むとな」
リーはこの書の話をした、清教徒革命の頃に生きたイギリスの詩人ミルトンが残した歴史的大作である。
「サタンはどうもや」
「悪やないな」
「そう思える」
「そやねんな」
「本来はな」
ミルトンの考えではだ。
「サタンを悪として」
「髪を正義とやな」
「定義したかった筈や」
「そやねんな」
「作者さんはな」
ミルトン、彼はというのだ。
「そやった筈や」
「本来はやな」
「それがな」
「そうはならんで」
「私が読む限り」
羅にこう前置きして話した。
「あの作品ではな」
「サタンもやな」
「正義、悩んで苦しみつつ前に進む」
そうしたというのだ。
「英雄や」
「そやねんな」
「部下を仲間と思って」
共に戦い堕天した彼等をというのだ。
「気遣い励ましもする」
「英雄やな」
「そして人間にもな」
彼等にもというのだ。
「愛情を持ってる」
「そうした存在やな」
「それで悪とはな」
読んでいてというのだ。
「どうもな」
「思えへんねんな」
「そや」
これがというのだ。
「むしろこう言ったら何やが」
「神の方がか」
「傲慢で独善的で」
そうであってというのだ。
「情のないな」
「そんな存在か」
「主も出て来るけどな」
それが誰かは言うまでもなかった。
「その主もな」
「容赦ないか」
「予備戦力として存在していて」
サタンが仲間達と共に神に反逆して起こった戦においてだ、当初常に神の傍にいて控えている姿が描かれている。
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