第六十八話 高位の神霊達その四
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「それでもな」
「進んでいく」
「死んでも最後に至った宿屋からやり直せるし」
「ほんま試練の場所やな」
羅もこう言った。
「ここは」
「そやな、敢えて試練を与えて」
「乗り越えさせてな」
「人を成長させるんやな」
「神霊さん達はな、そう考えたら」
羅は実際に考える顔になって話した。
「この世界の神霊さん達は悪やないな」
「邪神と言われてる神様でもな」
「それは人から見てのことで」
「この世界のことを真面目に考えていて常に憂いて」
「何とかしようとしていて」
「人の成長も促す」
「そうした存在で」
そうであってというのだ。
「悪やない」
「世界を滅ぼしたり悪意があるというのを悪とするなら」
「決してな」
「悪やないわ」
「邪神とか魔王とか言われても」
それでもというのだ。
「あくまで人の視点からのことで」
「この世界を司り守護しているという見解やと悪やない」
「そうなるな」
「ほんまに」
「キリスト教の魔王もね」
アレンカールはクリスチャンとして言った、尚彼の宗派は祖国ブラジルで圧倒的多数を占めるカトリックである。
「世界を守護してるのよね」
「そやな」
「キリスト教の神とは対立する立場やけど」
それでもというのだ。
「世界のこと、人のことをね」
「ちゃんと考えてるな」
「そうよね」
こう羅に答えた。
「悪意があるかっていうと」
「ないしな」
「そう思うとね」
「魔王達もな」
「悪やないわね」
「少なくとも起きた世界の日本の魔王よりはな」
「怨霊がなる」
日本では悪魔ではなく怨霊が魔王となるのだ、そしてその怨念を以て世の中に対して害を為すのである。
「そうしてね」
「並の悪意やないわ」
「怨念の塊で」
「もうとんでもない災厄をもたらすわ」
「そうよね」
「それを鎮める為にな」
怨霊、魔王と化した者達をだ。
「起きた世界の日本はめっちゃ苦労してるわ」
「歴史にあるわね」
「そや、何かあれば」
災厄や戦乱といった禍がだ。
「その都度な」
「怨霊の所業と考えて」
「静めてるわ」
「日本はね」
「そして日本の魔王は」
羅は強張った顔で話した。
「キリスト教の悪魔みたいに考えてみればもう一方の正義か」
「ちゃうのよね」
「純粋な」
「悪ね」
「もう自覚して」
自分が悪であることをだ。
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