第一章
[2]次話
ド派手メイク
八条大学演劇部は今度の劇は歌舞伎をすることにした、題目は妹背山女庭訓であった、ただ本来の歌舞伎と違い。
女性陣が半分だった、裏方だけでなく役者もであった。それで三回生の青山萌絵一五二位の背で胸がかなり大きく童顔で黒髪を肩の長さにしている彼女は蘇我入鹿の役になったが。
この作品の蘇我入鹿の衣装合わせ、メイクもしてだった。脚本を担当した石田兼続眼鏡をかけて細い眉に小さな目を持つ面長で中肉中背のぼさぼさした黒髪の彼に尋ねた。
「人間じゃないですよね、蘇我入鹿って」
「何処が人間かな」
これが石田の返事だった。
「この作品の入鹿って」
「そうですよね」
「修行でね」
それを行ってとだ、石田は萌絵に舞台裏で話した。
「不死身になったんだ」
「絶大な力を持つ」
「それでその入鹿を倒す作品だけれど」
「草薙剣で首刎ねますね」
「笛を吹いてくらっときたところをね」
「そしてその笛が」
それがというのだ。
「白い爪の鹿と嫉妬に狂って疑着の相になった女の人の血を混ぜたのをかけてで」
「そう、その笛で吹いてね」
そうしてというのだ。
「くらっときたところをね」
「物凄い設定ですね」
「何でそうして倒せるのか」
「どうしてそれがわかったか」
「そのこと自体わからないけれどね」
それでもというのだった。
「そうなんだよ」
「そうしたら倒せますね」
「この作品の入鹿はね」
「無茶苦茶ですね」
「歌舞伎あるあるだよ」
石田は何でもないといった顔で述べた。
「生き別れとかばったり会うとかね」
「ご都合主義の展開で」
「それでそうした変な設定もね」
「あるんですね」
「歌舞伎はね、もう突っ込みどころも」
「多いんですね」
「そうしたところを楽しむのも」
そうしたこともというのだ。
「歌舞伎だよ」
「そうですか」
「派手なメイクと衣装だけじゃないよ」
「そうですか、しかし確かにメイク派手ですね」
萌絵は石田の言葉を受けて今度はそちらの話をした。
「そうですね」
「歌舞伎といえばまずはね」
「派手なメイクですね」
「今の萌絵ちゃんだってそうだしね」
「普段こんなメイクしないですから」
その真っ白にした顔に隈取をしている顔で笑って話した。
「素顔見えない位に」
「するのが歌舞伎だね」
「ミュージカルや京劇も派手ですが」
そのメイクはというのだ。
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