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邪教、引き継ぎます
第四章
27.合流……?
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「うむ。フォルよ、今日も茶がうまいぞ」
「ありがとうございます。ハーゴン様」
「お前がここに来てからまあまあな月日が経つ。掃除や裁縫は一生懸命にやってくれるし、茶もこの上なくうまく淹れてくれる。気持ちとしては昇格させてやりたいのだが、それができん。すまないな」
「いえいえ! とんでもないです。ロンダルキアに来たときに『昇格はない。魔術師のローブは着てもらうが職務はお茶くみゆえ呪文も覚えなくてよい。万一ハーゴン様から昇格の話を頂戴しても辞退するように』と、ハゼリオ様にも言われていますし」
「理由までは聞いているのか?」
「聞いています。お茶くみ係はハーゴン様や他の幹部様たちと距離が近すぎるため、と」
「そのとおりだ。変に昇格すると下々の者から嫌われやすい立ち位置だからな。なんとなく、お前なら少し偉くしたところで嫌がらせされるようなことはない気もするが、念のためな」
「お心遣いありがとうございます」

「ただ、呪文は覚えてよいのではないか。魔術師のローブを着ているのにギラも使えないのは逆に不自然だ……それにこの先、お前も戦わないといけないときが来ないとも限らん」
「そうなのですか?」
「ああ。わたしがギラを教えようではないか。ハゼリオにはわたしから言っておく」
「えっ!? よいのですか」
「せめてもの褒美だ。ただし言いふらさぬようにな。今まで信者へ直々に呪文を教えたことはない」
「ありがとうございます! 覚えたら一生大切にします」
「一生は大切にせんでよい。一番弱い呪文だぞ」



 − − −



「私たちは教団のベラヌール支部とテパ支部の生き残りだ」

 祈祷師(きとうし)ケイラスと名乗った者以下、五十名超の信者一行がロンダルキアにやってきたのは、いずれ来襲するかもしれないローレシア軍とサマルトリア軍に備えるための塁・堀の整備が八割がた終了していたときのことだった。

「皆さん、よくぞご無事で」

 一行を迎えたフォルは歓喜した。
 まずはロンダルキア外の信者たちに『改宗せず信者のまま生きる』という選択肢を用意したい――そのような思いも持ってロンダルキア再建を進めてきたフォルにとって、既にすべて崩壊済みという支部の残党が合流してくれたことは、たいへんに大きな出来事だった。

 このまま頑張っていけば、ベラヌール支部やテパ支部以外でも、本当は改宗したくなかった元信者たちや、改宗を拒否して潜伏を余儀なくされている信者たちが、続々と合流してくれるかもしれない。
 もちろん最終的には、各国と交渉して教団を認めてもらい、在家のまま、その国の国民のままで、迫害されることなく自由にハーゴンの教えを信奉できる世界になることが理想。だがそのためには教団組織をしっかりと固め、交渉できる位置まで自分たちが浮上し
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