暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
XV編
第202話:黄昏に溶ける言葉
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大騒ぎになる。そうなれば最悪コンサートどころではなくなってしまうので、この案は諦めざるを得ないかと思われた。

 その時である。

「そんな事もあろうかと、ちょうどいい場所をピックアップしておいたぜ」

「「わぁぁぁぁっ!?」」

 突然響と未来が悲鳴を上げて抱き合った。何事かとクリス達がそちらを見れば、一体何時からそこに居たのか2人が乗る車の後部座席に颯人の姿があるではないか。この日のコンサートを楽しみにして朝一番には姿を消していた筈の彼がこの場に居る事に、クリスだけでなく透までもが目を見開いた。

「ペテン師ッ! おまえ、こんな所で何してんだよッ!」
「奏さんのコンサートを確実に見る為に、朝一で会場に入ったんじゃなかったんですか?」

 透からの疑問に対し、颯人は後部座席の背もたれに寄りかかりながら答えた。

「も〜ちろん、もうとっくに席は取ってあるよ。ただこんな楽しい事に、皆が遅れて来られないなんて残念過ぎるからな。予め魔法でさっさと行ける場所を見つけておいたのさ」

 そう言って颯人が一枚のカードを空いた窓から放り投げてクリスの方へと飛ばす。飛んできたカードをキャッチしたクリスが見ると、それには何処かの景色が映っていた。人気はないが、周囲の景色からそこがこれからコンサートが行われる会場の何処かだろうと言う事は分かる。このカードは颯人が使役する使い魔と視界を共有する為に使うものなので、これも今現在颯人の使い魔が見ているリアルタイムの様子なのだろう。

「ガルドとセレナはもうとっくにこれ目印にして会場に入った。皆もここに行けば、安全に素早く会場に入れるぜ」
「ホントですかッ! やったーっ!」

 これで時間に遅れる事無くコンサートに参加できると分かり、諸手を挙げて喜ぶ響とそれを宥める未来。一方でクリスは、随分と用意の良い颯人に違和感を感じているらしかった。

「随分と手回しが良いじゃねえか。何企んでやがる?」
「ちょ、先輩……」

 疑ってかかるクリスを宥めようとする調であったが、透も颯人に対して探るような視線を向けていた。よく見なければ気付けない程度の違いだが、今日の颯人は何かが可笑しい。

 向けられる視線に気付いたのか、颯人が透の事を見るとウィンクを一つしてから両手を上げた。

「企むなんて、そんな人聞きの悪い……。俺は折角のイベントを普段頑張ってる皆と楽しみたいだけだって」
「その言い方が胡散臭いってんだよ」
「考えすぎ考えすぎ」
「そうだよクリスちゃん! 急がないとコンサート始まっちゃうよッ!」

 響の口添えもあってか、クリスもそれ以上の追及はせず一応は納得した様子を見せると透の転移魔法によって会場へと転移していった。それに続く様に颯人も響と未来を連れて会場へと向かう。

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