第十八話 忍の家その五
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「わからない」
「人間の一生は」
「長生きしたくても」
例えそう願ってもというのだ。
「わからない」
「どうなるか」
「けれど長生き出来たら」
その明日もわからない一生でというのだ。
「それが一番だって」
「ひいお祖母さん言っておられるのね」
「そう、そして」
佐京は夜空に顔を向けて話した。
「ひいお祖母さんやがて夜空さんにとっても」
「私が佐京君と結婚したら」
「そう」
夜空に微笑みを向けて話した。
「そうなるから」
「そうなのね」
「ひいお祖母さんが言うには」
佐京はさらに話した。
「やしゃ孫の顔が見たいって」
「というと」
「俺達も入ってるから」
「結婚して」
「そして」
そのうえでというのだ。
「子供を」
「そうなるわね」
「ひいお祖母さん曾孫は俺と白華以外にも十八人いるけれど」
「多いわね」
「けれど一番年上は俺で」
それでというのだ。
「まだ皆子供だから」
「結婚して」
「それで子供が生まれるまでは」
「まだ時間があるわね」
「うん、それでもそう言っているから」
「やしゃ孫さんのお顔が見たいって」
「百歳までは」
その年齢まではというのだ。
「生きるって」
「百歳ね」
「それまで生きて」
そうしてというのだ。
「やしゃ孫の顔見るって」
「頑張っておられるの」
「うん、それで凄く健康だから」
「膝や腰は」
「そうしたところは痛んでも」
それでもというのだ。
「内臓も歯もしっかりしていてぼけてもいない」
「健康なのね」
「うん、特に頭がしっかりしていて」
それでというのだ。
「三島由紀夫を愛読しているんだ」
「あの人の作品を」
「全集も持っていて」
三島由紀夫の作品も多い、その為全集になるとそれなり以上の巻数になり文庫本の数も相当なものがある。
「よく読んでる」
「三島由紀夫の作品好きなのね」
「何でも学生時代から」
その頃からだというのだ。
「あの人の生前から」
「かなり昔ね」
「それで自決した時はかなり落ち込んだらしいし」
「ああ、あの自決で」
「市ヶ谷で切腹した」
あまりにも有名な事件である、俗に三島事件と呼ばれている。
「あの事件に」
「あれは凄いわね」
「その時のことは残念そうに話してた」
「本当に残念よね」
「もっと生きてくれて」
そのうえでというのだ。
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