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反抗期が来ても
第一章

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               反抗期が来ても
 高石真人、穏やかな顔で黒髪にやや白いものが混じってきている一七〇程の痩せた身体の彼は職場で同期の社員に苦笑いで言った。
「うちの双子の娘が反抗期でね」
「ああ、そんな頃か」
「小学五年で」
「その頃になるとな」
「子供特に女の子は」
「反抗期になるよな」
「うちもだよ」
 苦笑いで言うのだった。
「本当に」
「大変だな」
「いや、大変かっていうと」
 それはというのだった。
「別にね」
「来ると思っていたからか」
「だからだよ」
 それでというのだ。
「焦っていないよ」
「そうなんだな」
「来るものが来た」
 高石は淡々として述べた。
「そうね」
「思ってるんだな」
「そうだよ」
「それ言うとうちもだな」
 同期は会社の喫茶コーナーで高石に共に紙コップのコーヒーを飲みながらそのうえでこう返したのだった。
「高校生だけれどな、今は」
「それでもだね」
「ああ、小学校の頃はな」
「反抗期で」
「何かとあったよ、ただぐれなくて」
 そうであってというのだ。
「真面目なままでいってくれたから」
「よかったんだね」
「そっちもな」
「ぐれなかったらだね」
「いいだろ、父親には特にな」
「奥さんにはそのまま懐いてるよ」
「そうか、じゃあな」 
 母親にはそのままと聞いてだった、同期は言った。
「いいさ、女の子は母親に懐いていたらな」
「いいか」
「うちもそうだったしな、父親は反抗される」
 笑って言うのだった。
「女の子が出来たらな、もうそれはな」
「受け入れることだね」
「年頃になったら」
「そうだね、じゃあチト地親として受けるよ」
 高石はこう言ってだった。
 双子の娘、亜美と真美の反抗期を受けた、姉妹は茶色の短い髪の毛で大きな黒目がちの目と明るい表情で小柄である。亜美は右にまげが真美は左にまげがある。
 その二人は家で父親に露骨にだった。
 嫌な顔をしていた、そして言うことを聞かないが。
「私の言うことは聞くから」
「じゃあ僕は言わないよ」 
 妻の麻子、娘達が成長してロングヘアになった様な外見の彼女に話した。
「もうね」
「そうするんだね」
「私が言うわね」
「反抗期の間は」
「あなたが言うとね」
「聞かないね」
「だからね」
 それでというのだ。
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