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Fate/WizarDragonknight
袋小路
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とは比ではない。
 本当に命を奪いかねない威力に、ちづるは顔を蒼白にしていた。

「な、何が起こってるの……?」
「おや。どうした? こういう時は、令呪を使ってサーヴァントを召喚するのだろう?」

 パピヨンは唇を舐めずりながら呟く。

「さあ、君がフロストノヴァのマスターなら、今すぐ彼女を呼びたまえ」
「フロス……何?」
「彼女はこの前私と巡り合ったんだ。もう話は聞いているのだろう?」
「な、何のこと……?」
「おい待てパピヨン! まだ、一之瀬がマスターだって決まったわけじゃ……」
「ん? マスターとサーヴァントが揃って追跡しているんだ。彼女が参加者だからこその行動ではないのかい?」
「オレたちがいたから参加者だって断定したのか? いくら何でもそりゃ早計すぎんだろ!」
「ちょっと待ちなさい!」

 叫んだちづる。
 異能の力を持つ者たちの真ん中で立ち上った彼女は、何かが壊れたかのように怒鳴り散らす。

「参加者って何よ! 何かと誤解してんじゃないの!?」

 吹っ切れたちづるが、涙を浮かべながら叫んだ。
 誤解。
 その言葉に、コウスケと響は顔を見合わせる。

「一之瀬、ちょっと悪ィ!」
「な、何よ!?」

 コウスケはちづるの抗議も聞かず、彼女の手の甲を確認する。
 それぞれ軽くネイルなどで彩られた手だったが、その手の甲はいたって健康な血色が見られる。

「令呪がない……」
「それってつまり、ちづるさんはマスター……参加者じゃないってこと?」
「なんてこった……」

 コウスケは頭を抑える。
 ちづるはコウスケの手を振り払い、自らの手首を抑える。

「なんなの、手に何もないといけないわけ?」
「何だ、ただの誤解だったのか?」

 パピヨンは額に手を当てながらやれやれと頭を振った。

「全く……参加者探しにも苦労するね……まあ、見られたからには……食うか」

 パピヨンの目が、途端に捕食者のものとなる。
 伸ばされた彼の手が、ちづるへ伸びる。
 何を行おうとしているかは分からない。ただ、コウスケの野獣(ビースト)の本能が、あれが危険だと判断していた。

「変身!」

 コウスケは右手を突き上げる。
 腕を回転させるプロセスを省略し、即座にビーストドライバーのスロットに装填。

『セット オープン』

 同時に、飛び掛かってきたパピヨンと取っ組み合い、地面を転がる。
 ビーストとなり、パピヨンと同時に立ち上る。

「やるってんなら容赦しねえぞ!」
「喜んで。聖杯戦争の一環として、参加前に殺し合おうじゃないか」

 パピヨンはそう言って、その背中に蝶の翼を顕現させる。
 危険性を感じたビーストは、手を伸ばしながら響へ頼む。


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