第二章
[8]前話
「会社で誰も声をかけないなんてね」
「信じられない?」
「そのスタイルでだよ」
今はラフなティーシャツと半ズボン姿の華乃子に言った。
「それでだよ」
「それが本当にね」
見れば手足が長く胸とお尻は形がよく大きく腰は引き締まっている、見事と言っていいスタイルで眼鏡を外した顔も結構なものだ。大きな切れ長の目と形のいい唇と鼻である。
「声をかけられないのよ」
「付き合いはいいのにか」
「そうなの」
「あれか、普段作業服とヘルメットで」
岡崎もこう言った。
「普段着も地味だからか」
「それで眼鏡でね」
「誰も声をかけないか」
「そうみたいね」
「それはいいな」
岡崎はここまで話して笑顔で言った。
「俺としては」
「誰も言い寄る人いなくて」
「お前にな、やっぱりな」
「彼女さんが言い寄られるって」
「嫌だしな、まあかく言う俺もな」
「普段はね」
「地味なスーツで趣味もヲタクって言われるのばかりでな」
「もてないわね」
「そうだよ」
「それがいいのよ、私もね」
華乃子も笑って話した。
「やっぱりね」
「彼氏彼女が言い寄られるってな」
「嫌よね、それ位なら」
「普段はもてない」
「それがいいわね」
「全くだよ、じゃあ食事作ろうか」
「二人でね、今日はお野菜とベーコン炒めて」
華乃子は立ち上がりつつ言った、立っても見事なスタイルである。
「そしてお味噌汁よ」
「お味噌汁に葱たっぷり入れような」
「丁度あるしね」
二人で笑ってキッチンに向かった、その様子は実に仲睦じいものだった。やがて華乃子は岡本と結婚したが世間からは地味系夫婦と言われた。しかし更衣室で彼女の着替えを見ている同僚の女子社員だけは岡本は幸せ者だと思ったのだった。
作業服を脱ぐと 完
2024・5・17
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