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俺様勇者と武闘家日記
第3部
サマンオサ
三人の行方
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サマンオサのお城はあった。だがコゼットさんの言う通り城門は固く閉ざされており、それどころか兵士の姿もなかった。
「やっぱり閉まってるね……。どうする、ミオ?」
「お城の中にいるってわけでもなさそうだもんね……」
 日没後それほど時間が経っていないのにもかかわらず、門の向こうの王城は真っ暗で、誰もいないのではないかと思うくらいひっそりと静まり返っている。
 篝火すら灯っていないそのお城は、まるで幽霊でも住んでいるかのような不気味さを醸し出していた。
 お城にいないとなると、どこか寄り道でもしている可能性が高い。私は頭をフル回転させ、ユウリたちが寄りそうなお店を思い出していた。
「??あっ、もしかしてあそこかも!!」
 サマンオサに入ってすぐ通り過ぎた、モンスター格闘場。シーラはもちろんユウリも行きたそうな顔をしていた。行くとしたらきっとそこに違いない。
「ねえルーク。この町にモンスター格闘場ってあったよね? もしかしたらそこに行ってるかもしれないから、案内してもらえる?」
「え、あんなところに行くの? この町でも特に物騒なところなんだけど……」
「そうなの!?」
 そんなに危険な場所だろうか? ロマリアでは普通に王様が一人で出入りできた気がするけれど。
「一応聞くけど私一人で入るっていうのは……」
「絶対ダメだ!! 取り返しのつかないことになっちゃうよ!!」
 ルークがそこまで言うなんて、よっぽどこの国の格闘場は危険な場所なのだろうか。と同時に、そんな場所に本当に三人はいるのだろうかという疑問もわいてくる。 
 けれど考えても埒があかないので、結局そのままモンスター格闘場へとやってきた。初めて見かけた時は入り口の看板くらいしか目に留めなかったが、よく見ると明らかにガラの悪そうな男の人たちが次々に中へと入っていく。確かにルークの言うとおり、女性一人で入るには危険かもしれない。
「正直僕もここに入るのは初めてなんだ。賭けられるほどのお金なんてないしね」
 自嘲気味に笑うルークの頬を、一筋の汗が伝う。彼も緊張しているのだろうか。
 そしてルークはドアノブに手をかけ、ゆっくりと扉を開けた。
 中は薄暗く、埃っぽかった。壁にかけられた蝋燭の火を頼りに、恐る恐る先へと進む。奥へ進むうちにだんだん視界が明るくなっていき、同時にお酒と煙草の匂いが鼻についた。目の前に再び扉が見えてくると、扉の向こうから喧騒が聞こえてきた。ルークが軋んだ木の扉を開くと共に、大歓声と怒号が響き渡った。
『おおおおおっっ!!』
「行けえっ、そこだ!!」
「バカヤローッ!! 有り金全部お前に掛けたんだ、ここでやられるんじゃねえよ!!」
 中ではドーナツ状の観客席と、中央にある舞台に分けられていた。舞台の上には魔物が数体ほど戦っており、その様を多くの人が観客
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