第百二十八話 人は強くなってもその二
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「怖かったのよ」
「じゃあ遠足とかは」
「泣いてね」
そうしてというのだ。
「嫌がったわ」
「そうだったの」
「実はかなり数が減っていて」
そうした状況でというのだ。
「かえって保護がね」
「言われる位少ないのね」
「そうだけれど」
それでもというのだ。
「子供の頃そんなこと知らないでしょ」
「数が少ないから遭うのは稀だって」
「それで遭っても」
その羆にだ。
「相当餓えてないとね」
「大丈夫よね」
「ええ、けれどね」
それでもというのだ。
「子供の頃はね」
「そんなことまで考えられないわね」
留奈も言った。
「子供だと」
「ええ、だからね」
「羆は怖いって」
「それだけ思って」
そうであってというのだ。
「写真とか観ただけで」
「怖かったの」
「幽霊とか妖怪よりもね」
「羆の方が怖かったのね」
「そうだったの」
「そんなに羆が怖かったのね」
「だから三毛別のお話聞いたら」
極めて有名な話である、特に地元の北海道では知らない人はいないまでに有名な話であると言われている。
「怖いわよ」
「子供に」
「だからね」
それでというのだ。
「私もね」
「怖くて」
「幽霊や妖怪よりも」
「夢にも出て来たのよ」
留奈に真顔で話した。
「物凄く大きくて怖いお顔でね」
「襲い掛かってきたのね」
「夢の中でね、山小屋の中にいたら」
夢の中でというのだ。
「山小屋の木の扉壊して」
「そうして中に入って来て」
「私二階に上がっても」
山小屋のというのだ。
「屋根裏のね」
「来るのね」
「梯子上がってね」
「羆って梯子使うの」
「夢の中ではそうでね」
現実はいざ知らずというのだ。
「それで来てね」
「どうなったの?」
「屋根裏の窓から屋根に逃げたのよ」
「そうしたの」
「けれど屋根を突き破って」
「来たのね」
「あの熊の手が出て牙が光って」
そうなってというのだ。
「お顔が出てね」
「それはかなり怖いわね」
「そこで夢が終わったけれど」
「目が覚めて怖かったわね」
「悪夢だったわ」
北海道の娘は真顔で話した。
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