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金木犀の許嫁
第十七話 生まれ変わりならその十二

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「理想、目標は高いならです」
「高い程いいですか」
「その分自分を高められるので」
 その人の域に達しようと努力してというのだ。
「ですから」
「それで、ですか」
「理想、目標とする人はです」
「素晴らしい人であればある程ですね」
「いいです」
「そしてその人の様に素晴らしくなる様ですね」
「努力することです」 
 まさにというのだ。
「まことに」
「そうなのですね」
「例え達することが出来なくても」
「その人の域まで」
「それでもです」 
「努力していって」
「自分を高めることです」
 こう白華に話した。
「まさに」
「そうなのですね」
「ですから私はです」
「幸村公をですか」
「尊敬していき」
 そうしてというのだ。
「己を高めていきたいです」
「ご自身をですね」
「私は何も持っていませんでした」
 白華にこうも話した。
「人は誰もがですか」
「生まれた時はですね」
「白紙であり何もです」
「持っていなかったですね」
「はい、ですが」
 それがというのだ。
「努力して敬虔して」
「色々なものを持つ様になりましたか」
「それで少しはましになったかも知れません、ですが」
 それでもというのだ。
「幸村公と比べますと」
「全くですか」
「及びません」
 そうだと自分で言った。
「ですからこれからも」
「努力されていって」
「そしてです」
「ご自身を高められていきますね」
「そうしていきます」
「では私も」 
 白華ははんぺんを食べてから応えた。
「努力しまして」
「ご自身を高められていきますか」
「そうしていきます」
 幸村に微笑んで話した。
「ずっと」
「そうされて下さい」
「尊敬する人の様に」
 その尊敬する人もだ、白華は話した。
「伊賀のひいお祖母様の様に」
「あちらの」
「はい」 
 まさにというのだ。
「あの方の様にです」
「なられますか」
「そうします」
 こう言うのだった、そしてだった。
 白華はカルピスチューハイも飲んだ、そうしておでんも楽しんだ。そのうえで努力して自分を高めていこうと誓うのだった。


第十七話   完


                    2024・3・8
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