第7話:適度な恐怖心が足りない……
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選択肢が無い。ただ真っ直ぐ己の欲望に向かって進むのみ。例えそこに罠や待ち伏せが遭ってもな」
過剰に敵を恐れ過ぎて好機を逃す臆病者も馬鹿だが、警戒心が欠如した勇猛果敢のみの愚者も馬鹿じゃ。恐怖心や警戒心を完全に失った味方は敵よりも怖い。何時味方の足を引っ張るか解らぬからのう。
が、ドウカァーは完全に困り果てている。どう言う事じゃ?
「ですが、今の我々に寄り道をしている余裕はありません」
「ん?何でじゃ?」
「国王陛下がもう直ぐこの砦にお越しになるとの事です」
「ぶーーーーー!」
豊臣秀吉いま、口から大量のお茶を噴射しなかった!?
いやいや!それどころじゃない!
私の父上が来る!?ここに!?
「なんでも、我々だけが敵砦を壊すスピードが異常に遅い事を陛下が前々から気になっていた様で―――」
「父上は!カミカゼ兄上の不審死や客将ヌードンが裏切り者拉致された事を何も聴いていないと申すか!?」
「いえ!寧ろ、エイジオブ帝国に寝返らんとする不届き者に一喝するべく、エイジオブ帝国の砦を壊す速度を数段階引き上げろとのお達しが―――」
「ああ、もう!この忙しい時に人の味を知り過ぎた熊を味方に回す羽目になるとは!」
豊臣秀吉は頭を抱えながら天を仰いだ……
勇猛果敢な突撃至上主義を掲げる国のトップがここに来る……これってつまり、突撃以外の選択肢を完全に失う事を意味するからだ!
人の味を知り過ぎて人を恐れなくなった熊は、例え鉄砲を構えた猟師達が待ち構えても恐れず前へ進むからねぇ!ムソーウ王国がエイジオブ帝国の接待戦法に完全に翻弄されている戦況で来て欲しくなかったのよ!
ムソーウ王国には獰猛な熊がおってさ♪
それをエイジオブ帝国が大筒で撃ってさ♪
煮てさ♪
焼いてさ♪
食ってさ♪
危険ワードがモリモリではありませんか!
そんな中、ドウカァーが恐る恐る私に訊ねる。
「で、如何いたしましょうか?」
「私は父上には遭わんぞ」
「……どうやって?」
そして、ムソーウ王国国王が率いる大部隊が私達が落とした砦を訪問した。
だが、国王は豊臣秀吉に会う事は無かった。
「誰もおらぬだと?」
「はい!オラウ様はこの砦を拠点にエイジオブ帝国に奪われた国土を取り戻さんと思案していたのですが―――」
「何故直ぐに動かなんだ?何を迷う事がある?さっさと敵を叩き潰せば済む話に迷う理由が有るか?」
「……ございません!」
「ならば行くぞ。わしからカミカゼとオラウを奪った不届きな連中を捌きに」
……
……
……
あ……あっぶねぇー!
本当に敵の木こり共を皆殺しにしておいて、本当に良かったぁー!
お陰で、父上の目から私達を全て隠す事が出来たのだから。
それと、『裁き』の漢字が微妙に間違ってない?|捌き
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