第7話:適度な恐怖心が足りない……
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な……」
そこへ、
「ヨツメ大隊長の救助と送迎、たった今完了しました」
「……どこにいた?」
「ムソーウ王国の野営地です。既に無人でしたが」
イオナリは溜息を吐きながら顔を青くする。
「何をやっているんだ?エイジオブ帝国の将校がクーデタードアに引っ掛かってどうするんだ?」
呆れたイオナリはヨツメを呼ぶが、
「お呼びかな?軍師殿?」
「ヨツメ隊長、君は……」
ここでイオナリが口を閉じる。
そうでもしないと……場違いな大笑いをしてしまいそうだからだ。
ヨツメの口はオラウの斬撃のせいで両耳元まで裂けてしまい、そしていつも笑っている様な顔になってしまったのだ。
「うんぐっ!……こ、怖がっても……良いのか?」
笑いを堪えながら質問するイオナリにムカつきながらも、ヨツメは大人の余裕を魅せる様に冷静に答えた。
「それで軍師殿の気が晴れるのであれば……」
その途端、イオナリは笑いを堪えながらわざとらしく怖がった。
「うわぁー、怖ぁーい。そんな大口で迫れたらー、食べられちゃうぅー」
完全に棒読みである。
「何を言っているのですか軍師殿ぉー。私は人食いなどと悪趣味、しませんよぉー」
口ではそう言っているが、ヨツメは心の中でオラウを食い殺す勢いで恨み狂っていた。
(おのれオラウ・タ・ムソーウめ!必ずや『全裸で地下牢生活』を堪能させてくれるわ!)
大人の余裕とか……全然無かった!
さて……
敵の指揮官が功を焦ってくれたお陰で、思ったより早く1つ目の砦を落とす事が出来たが、その敵指揮官が焦った理由についてちょっと困った事になってもうた。
「『いぇにちぇり』……とは何ぞ?」
アニマの動物を操る魔法で敵の焦りの理由を調べたら、いぇにちぇりと言う何者かが到着する前に決着を付けようとしていた様だが、肝心のいぇにちぇりの正体が解らぬのでは意味が無い!
マッホーウ法国の残党に訊ねようにも、どいつもこいつもエイジオブ帝国の接待戦法に完全に翻弄されていぇにちぇりを引き摺り出す事が出来ない体たらく……
実際にエイジオブ帝国と戦った連中ですらいぇにちぇりについて知ってる事はこの程度でしかないので、致命的に忍者が不足しているムソーウ王国がいぇにちぇりの正体をまったく知らないのも無理は無い。
ここに来て、未知の敵の正体が解らぬ状態で戦うとは……頭が痛いのう。
そうやって豊臣秀吉がいぇにちぇりについて悩んでいると、ドウカァーが慌てた様子で進言しに来た。
「オラウ様、急ぎ次の砦を落とす必要性が出てきました」
「ムソーウ王国王室は人の味を知り過ぎた熊か?」
「熊?それはどう言う意味です?」
「執着心に溺れて恐怖心を失った熊ほど厄介な存在はいないと言う事だ。そうなってしまった熊は警戒心が無いから逃げると言う
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