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星河の覇皇
第八十六部第三章 学園の理事長としてその五十二

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「残念だが」
「左様ですね」
「出て欲しいが」
 それでもというのだ。
「あそこまでの人物はな」
「教育では出ないですね」
「モーツァルトは教育では出ない」
 ここで言う教育は普通の教育である。
「音楽家の家庭で確かに幼少から音楽に触れていたが」
「生まれた時から」
「だが文字を覚えるのと同じ位で作曲をしたのだ」
 モーツァルト、彼はというのだ。
「こうしたことはだ」
「普通は有り得ないですね」
「彼もまた後世まで、今に至るまで大きな影響を残しているが」
 音楽にだ、ここまでの偉大な音楽家はそれこそ他にはベートーベンやワーグナー位だとも言われている。ロックだとビートルズになるだろうか。
「彼も然りだな」
「教育では出ないですね」
「確かに教育は必要だが」
 それは事実でもというのだ。
「傑出して才能、そしてだ」
「カリスマ性ですか」
「それに基づく影響力はな」
「教育ではですね」
「手に入れられない、釈迦やキリストもだ」
 今に続く宗教の創始者達もというのだ。
「ムハンマドもな」
「教育を受けてはいない」
「ムハンマドは字が読めなかったという」
 その筈なのにコーランが読める様になったのがイスラム教のはじまりだった。
「それでもだ」
「あの様にですね」
「偉大な宗教を開き」
「今も影響を及ぼしています」
「あれだけの人物は滅多に出ない」
「望んでも」
「望めば得られるという」
 八条は由良にこの言葉も出して話した。
「俗にな」
「それは英雄もですね」
「フランス革命でフランス人達は諸国に攻められ危機を打開してくれる英雄を欲していたな」
「ナポレオンですね」
「革命政府も腐敗がはじまっていた」
 五人の総裁政府のことである。
「そうして戦争は続ぎ農民の権益もだ」
「どうなるかわからなくなっていた」
「そこで農民の権益を保証もした」
「ナポレオンは」
「その面からも英雄であった」
「しっかりした政府、諸国への勝利、農民の権益の保証」
「その三つ全てを果たせる英雄を欲してだ」
 そしてというのだ。
「ナポレオンが現れた」
「そうなりましたね」
「元王朝の異民族支配と弱体化したことにより乱れた政治、天災に喘いでいた中国の民も求めた」
 八条は今度はかつての中国の話をした。
「そして現れたのは」
「明の太祖朱元璋ですね」
「彼は確かに統一後多くの粛清を行った」
 その犠牲者は数万だったという。
「その為今も評判は悪い」
「そのことは事実ですね」
「しかしだ」
 それでもというのだ。
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