第102話 憂国 その2
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サンタクルス・ライン社統括安全運航本部長のジョズエ=ラジョエリナではなく、かなりスケベなフリーランス航宙士ラージェイ爺となって、知り合いがとてもいそうにない別大陸の酒場に行くのさ。その為に最低三日は休む」
おかげで妻には全く頭が上がらない老後になっているがね、とグレーの髪を掻きながら苦笑する。
「別の自分ですか。想像もできません」
「似たような職業で、全く正反対の人格を構成すればいいんだが、中佐がそれをやると間違いなく警察のお世話になりそうだな。中佐は第二種恒星間航宙士の資格は持っているな?」
「一応は」
軍艦を動かす上では必須の資格で、士官学校の艦運用教程を受け、単位取得試験に合格すれば取得できる。もちろんペーパーではあるが、退役しても剥奪されることはなく四等航宙士として就職することが可能だ。
「ならラージェイ爺の紹介だと言えばいい」
そう言うと、ピカピカのゴルフスコアカードに何か書き込むと、それを破いて俺に手渡した。
「これはムカつく宇宙海賊をぶちのめしてくれた勇敢な後輩航宙士仲間へのプレゼントだからな。決して賄賂ではないぞ」
いやいやどう考えても賄賂でしょうが、と喉まで出かかったが、ガハハハッっと大口開けて笑う『ラージェイ爺』を前にして、ペーパー航宙士としては何も言うことができなかった。
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