第三章
26.束の間の休息
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いかないため、神殿の祝勝会の翌日に一人で祠に行くことにしたのだが、この面々が勝手に酒樽持参でついてきてしまったのである。
「キミにはいちおう同情はする。ついてくるなとは言えないだろうから」
白い息を漏らしながら、大きなマフラーを直す少女。そしてフォルが持参した地図に示された戦場を、あらためて見る。
「戦場に選んだ場所、だいぶ南だ。フォル、キミの決断だね、これは」
「よくわかりますね。たしかに私です」
「この祠が巻き込まれないように、いや、関与を疑われないようにそうしてくれたのかな。ありがとう」
「いえいえ、お礼を言われる話ではありませんって」
「でもこうやって勝手に祝勝会をここで始めたキミの部下たちが、そのへんを台無しにしてくれたみたいだけど……まあ誰も見てないし、いいか」
フォルがすまなそうに黒髪を掻きながら、またペコリと頭を下げる。
「というか、シェーラって名前だったっけ? アンタ個人はボロ負けだったわけでしょ。勝利の美酒じゃなくて敗北の苦汁の間違いじゃないの」
「フン、その点は言い訳するつもりはない。もっと修行してやり返すさ」
「あっ、いえいえ、ミグアさん。シェーラさんは今回の戦いではものすごい功労者なんですよ」
「本当かな」
「本当だよ。一番大事な囮の役だったわけだからね」
タクトも話に入ってきた。
「最初君が囮をやるって言い出したとき、おれは君に自殺願望でもあるんじゃないかと思ったよ」
「私も不安で仕方なかったです」
当初、サマルトリアの王子を引きつけ時間稼ぎをする役は、やられる前提でキラーマシンのみが担当する予定だったが、その話を聞いた瞬間にシェーラは「オレがやる」と言い出した。
フォルもタクトも反対したのだが、この褐色少女は「キラーマシンじゃ無理だ。オレが行く」と強引に押し切っていたのである。
実際、キラーマシンはサマルトリアの王子に瞬殺されている。そのため、結果的に彼女の言うことは当たっており、彼女が陣営に勝利を呼び込んだと言ってもよい。だが、重傷を負って気絶している彼女を発見したフォルたちが大慌てであったこともまた事実であった。
「お前たちが思ってるほどバーサーカーはヤワじゃないぞ」
「えー、本気で心配したよ? ねー! みんな! シェーラちゃんが死んだんじゃないかと思って心配した人、手あげて」
全員が手をあげる。
「お前ら舐めてんのか」
バーサーカーの少女は全員から目を逸らし、残った酒を一気に飲み干した。
「では今回はこれで失礼します。またお騒がせしてしまってすみませんでした」
片づけと帰り支度を終えたフォルは、ロンダルキアの祠の少女に礼を言うと、仮面を顔に着けた。
「ローレ
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