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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
XV編
第201話:燃える足跡
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出されたそこでは、奏と翼、更には何故かマリアまでもが舞台の上で踊り唄う姿が映し出されている。
颯人はその様子を真剣な表情で眺めながら、視線を外さず口を開いた。
「何かさ……臭うんだよ」
「臭う?」
「あぁ。俺だけじゃない。ドラゴンも感じてる」
「今までにも何度かあったが、奏達がデカいライブをやる時にはトラブルがつきものだった」
「特に今は、まだこの間の件で動いてる錬金術師とジェネシスが居る」
「俺の杞憂で済めば良いが、もしそうでなかったとしたら…………」
颯人達が見ている前で、ライブは順調に進んでいるように見える。奏達は心の底から楽しそうに歌って踊り、観客たちも3人の歌姫のパフォーマンスに沸き立ち興奮は最高潮に達しようとしていた。
その時、未来の光景に異変が起こる。空から突如として降り注ぐアルカノイズの群れと魔法使い達。ライブ会場はあっという間に地獄絵図となり、その光景は在りし日の景色の再現だ。
確定していない未来の光景とは言え、それを見た輝彦は顔を顰め弦十郎は歯を食い縛る。
そして、颯人は…………
「…………チッ」
静かに、だが確かな舌打ちをしてその光景を消した。颯人はそのまま胸の前で組んだ左腕の上に右ひじを乗せ、右手で帽子を押さえて目深に被りながら俯いた。耳を澄ませば彼の口からはっきりとは聞き取れないがブツブツと呟きが聞こえる。
これ以上ない位の不機嫌さを見せる颯人に、弦十郎が輝彦に視線を送ると彼は肩を竦め息子を落ち着かせようと手を伸ばした。だがその手が肩に触れる前に、颯人は振り返り輝彦の顔を見て口を開いた。
「父さん、サンジェルマンさんと連絡取れる?」
「ん? サンジェルマンと? そりゃ取れるが……」
「どうするつもりだ、颯人君?」
弦十郎の問いに、颯人はスーツの襟を正し扉に向かいながら答えた。
「出来る事は全部やる。何度も奏のライブを台無しにされて堪るかってんだ」
そう言って発令所から出ていった颯人を見送った輝彦は、やれやれと言った様子で溜め息を吐いた。
「全く、仕方のない奴だ」
まぁ、気持ちは分からなくもないがと考えながら、輝彦はサンジェルマンに連絡を取る算段を立てながら視線を下に向けた。
今し方颯人が歩いた後、そこには小さく燃える靴底が足跡となって続いていた。怒れる颯人から漏れ出た魔力が、小さく燃える火となって残っていたのだ。愛する奏のライブを、下らぬ理由で穢される事が心底我慢ならず怒りを抑えきれていない証拠である。
まだまだ若く未熟な息子を、後で叱ってやろうと思いつつ同時に輝彦はこのライブで襲撃を掛けようとしている輩に同情しながらサンジェルマンへと連絡を取るのだった。
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